焦る米国。中国が「ハイテク業界」で世界覇権を本気で取りに来た

 

追加関税の応酬でも激化へ

一方、追加関税を相互にかけあう貿易戦争も激しさを増している。トランプ政権は10日に追加関税10%をかける6,031品目、22兆円のリストを公表した。ハンドバッグや化粧品、帽子、水産品、野菜、果物などで「中国が報復すれば関税をかける」と脅している。今回は携帯電話やパソコンをはずし生活に身近な商品が多く、アメリカの有名化粧品などは中国人にとって高いものになる。生活品で締め上げようという狙いなのか。

また、中国は「国家と人民の利益を守るために中国は必要な反撃を行う」と受けて立つ構えだ。ただアメリカの関税対象は2,500億ドルだが中国のアメリカからの輸入総額は1300億ドルと少ないので、これまでのように金額、税率ともアメリカと同じ報復をするわけにはいかないようで、ハリウッド映画の上映制限アメリカ向け団体旅行の販売停止などを考えているという。

損をするのは生産者、消費者?

今のところ今月6日に発動した第一段階の制裁関税はアメリカが自動車、産業用ロボット、半導体、医療用機器など818品目340億ドル。中国は自動車、大豆、牛肉、農水産物、ウィスキーなど545品目で340億ドルという。その後徐々に拡大するとし、輸入品全体に課すとしている。ただ関税発動では双方の生産者、消費者に多大の迷惑がかかるとし、問題解決にはつながらないとの声もあり、今後どう妥協するかが注目点だ。(TSR情報 2018年7月30日)

image by: humphery / Shutterstock.com

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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