「どうにかして買わせたい!」と思いながらおこなう接客は、かえってコミュニケーションの質を落としてしまう、そう指摘するのは無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。坂本さんは、その打開策として「お客様を、自分の友人に置き換えて接したら?」と考えて接客するという大胆な提案をしています。
友人に置き換えてみる
販売員の中には、お客様に接することで、過度に緊張してしまったり、普段通りのコミュニケーションが取れなくなるという人がいます。これは、相手が知らない人だからという理由も少なからずあるかもしれませんが、それ以上に大きな理由があります。「売る」という意識が含まれているからです。
商売である以上、どうしても、数字を意識するので、「どうにかして買ってもらわなきゃ」「どうにかして売上を上げなきゃ」という感覚が生まれてしまうのですね。そうすると、接客の中でも、「売る」ための行動やトークを考えることになるので、無理が出てしまったり、違和感のあるコミュニケーションを取ってしまうわけです。
これ自体は、決して悪いことではありません。売ろうとする気持ちがなければ、実際に、数字を上げにくくもなってしまいます。とりあえず喋るだけ喋って、商品が売れないのでは、お店は営業を続けることはできないので、当然考えるべきことなのです。しかし、それによって、接客がうまくいかないのは、本末転倒と言えます。
そういう人は、一度、お客様を「友人」に置き換えてみるといいかもしれません。自分のお店に来店してくれたお客様が、「友人」だったら、どんな対応をするかで、考えてみるのです。
例えば、友人が来店してくれたとして、いきなり、「何かお探しですか?」と、聞くでしょうか?聞きませんよね。その前に、挨拶をするでしょうし、「最近どうしてるの?」とか、「今日はどうしたの?」的な会話をするでしょう。そこから、「今度〇〇に行こうと思ってて~」なんて会話が始まったら、「えー! うらやましい!いついつ?」みたいに広がっていきます。
そして最終的に、「だから、こういうのが欲しいんだよね」という流れが生まれて、「だったらこれがいいよ」と、商品を勧めることができるはずです。ここには、売ろうという気持ちよりも、友人の話に合わせて、「これがあった方がいいよ」と、自然に勧めてしまう気持ちがあります。
接客だって同じなのです。昔と比べて、特に一般的なお店には、確実に何かを求めて来店されるお客様は減りました。そんなお客様に、「何をお探しですか?」なんて質問をしても、答えが返ってくるわけがありません。だったらその前に、コミュニケーションをとって、しっかり会話をすることが必要です。
誰だって、友人相手にはできるのですから、お客様相手にできないという道理はなくて、結局は、自分次第なのです。この感覚に慣れてきたら、そこから「売る」という気持ちを足していけば、より提案に無理がなくなり、説得力が増してきます。
友人相手だとしたら、どんな対応になりますか? 少し考えてみてください。
今日の質問です。
・友人が来店したとしたら、どんな会話をしますか?
・その会話の中で、商品を勧めることになるとしたら、どんな勧め方になりますか?
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