ドラマ「サバイバルウェディング」は、波瑠さん扮する主人公が寿退社したばかりで婚約破棄、「退職は無かったことにしてくれ」と出版社に泣きつくシーンから始まりました。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では、辞表を出すのは退職の何日前が好ましいのか、「辞めるの止めた」は通用するのかを解説しています。
御社では、従業員の急な辞職、どう対応しますか?
退職には、大きく3つあります。
- 辞職(労働者からの一方的な労働契約解除)
- 解雇(会社からの一方的な労働契約解除)
- 合意退職
※ この他に、定年や期間満了による「当然退職」、労働者の死亡や会社の消滅による退職もあります。
「辞めたいのに辞めさせてもらえない」という労働者のお話をよく耳にします。この場合、お互いが話し合っての円満退職(合意退職)ではないので、「辞職」ということになります。
「辞職」の場合、民法の定めによって「労働者はいつでも解約の申入れをすることができ、解約の申入れの日から2週間経過後に雇用契約は終了する」とされています。
また、月給制の場合は、その賃金算定期間の前半までに退職を申し入れるとその期間限りで退職することが可能です(※ 期間の定めのない労働契約で働いている場合に限ります)。
ですから、辞表(退職届)を提出してから上記期間経過すれば、退職することになります。会社が、辞職者を引き止めることはできません。
そうは言っても、就業規則等で、「退職者は1か月前に届け出ること」といった定めをしている会社も多いと思います。このような定めが全く無効というわけではないのですが、裁判等では、就業規則よりも民法が優先されるような判決が出ています。
しかし、引き継ぎや後任者を採用する時間的余裕を考えると、民法の定めはなかなか厳しいものがあります。実務的には、就業規則を盾に、できる限り1か月前までに届け出るよう伝えていくしかないでしょう。
では、辞表提出後に、やはり退職したくない、辞意を撤回したいと言い出した場合はどうでしょう?
裁判例によると、「使用者が承諾する前であれば、使用者に不測の損害を与える等、信義に反すると認められるような特段の事情がない限り、労働者は自由にこれを撤回することができる」とされています。
承諾権限がある者が承諾した場合、「使用者の承諾があった」とされます。承諾があった場合には、従業員からの撤回はできません。「承諾権限がある者」とは、中小零細企業であれば社長でしょうし、一定規模以上の会社では、人事部長や労務担当役員等になるでしょう。
承諾があったと認められる場合、主導権を握るのは会社側です。この従業員が辞めても構わないのなら、辞表撤回を認めなくてOK。そのまま着々と、退職手続きを進めてください。
もちろん、辞表撤回に応じ、会社に留まってもらうという選択肢もあります。どちらを選ぶかは、御社次第です。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社では、従業員の急な辞職、どう対応しますか?」
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