「このやり方じゃダメだよ」と、思わず部下や後輩へ口にしてしまう「ダメ出し」。しかし、それは自分のレベルが高くないことを露呈しているようなものだと話すのは、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。今回のメルマガでは、レベルの高い接客員が「ダメ出しをせずに何をするか」について紹介しています。
ダメを出すのは簡単
ある程度、仕事ができるようになってくると、仕事の粗を見つけることができるようにもなります。
「ここはこうした方が良いな」
「これはこのやり方じゃダメだな」
ということが、自然とわかるようになってくるのです。買い物に行ったり、食事に行ったりしても、
「この接客は良くない」
「こういう説明の仕方じゃあわかりにくい」
みたいな部分が見えるようになってきて、以前より、接客が気になり出すものですよね。私も経験がありますし、おそらく読者の方にも、経験がある方がいらっしゃるかもしれません。そしてこれが当然、普段の仕事の中、特に、人を教育している時に表れてきます。
「今みたいなやり方じゃダメだよ」
「そんな売り方じゃ売れるものも売れないよ」
粗が見えてしまうので、それを伝えようとして、知らず知らずのうちに、いわゆるダメ出しをしてしまいやすくなるんですね。
しかし、実は、ダメを出すのはとても簡単です。接客で言えば、少し接客業を経験することで、良い接客と悪い接客がどんなものかはわかるようになってきます。それをただ伝えるだけなので、自分ではよくわかっているつもりでダメ出しをしていても、本当は誰でも簡単にできることなのですね。こうしてダメ出しばかりやっている人は、「私は何が良いかわかっていますよ」というつもりなのでしょうが、実際のところは、大してレベルが高くないことを露呈しているようなものです。
では、さらにレベルが上がると、どんなことをすべきなのかが気になりますよね。それは、「次の行動を提示」することです。ただダメを出すわけではなくて、
「次にこれをやれば良くなるよ」
「こういうやり方にすれば良くなるよ」
ということを伝えられるかどうかということですね。
何度も言うように、粗を探してダメを出すのは、少し経験をしている人なら、誰でも簡単にできます。しかし、その粗を見つけて、次にどんなことをすれば改善できるかまでを提示できる人は多くありません。なぜなら、ある程度の知識や経験を持っていないと、正解に近しい道筋がわからず、提示のしようがないからなんですね。
でも、逆を言えば、それができるということは、相応のレベルにあるとも言えます。同じ仕事でも、真剣に取り組んできた人は、「どうすればもっと良くなるか」を考え続けています。今できないことでも、次にどんな行動をとればうまくいくかを常に探し続けているわけです。すると、自然と他の人の粗を見つけても、どんなことをすれば良いかが何となくわかるようになってきます。それを伝えることで、相手は次にやるべき行動が手に取るようにわかるため、成長のスピードがグンと上がります。だから、レベルの高い人の元では、人が育ちますし、次から次に頭角を表す人が出てくるのです。
そして、さらにレベルが上がってくると、自分で考えるべきことは自分で考えさせるようなやり方もできるようになってきます。それはまた、別のお話ですが。
ただ、他人の粗を見つけては、ダメを出して、満足してはいないでしょうか? そんなことは、実は誰にでもできることで、決して人を成長させられる行動ではありません。他人の粗を見つけたら、どんなことを伝えるか?ぜひ考えてみてください。
今日の質問です。
- ダメを出すのが簡単で、次の行動を提示するのが難しい理由は何ですか?
- 粗を見つけたら、次の行動を提示できるようにするためには、日頃からどんな意識が必要ですか?
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