先日、「米中貿易戦争や知的財産争いは長期化、中国政権崩壊まで継続」との衝撃の持論を展開した、戦略論研究家として世界的に高名なルトワック氏。これを受け、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、米国内の親中派壊滅という事実等をあげつつ、米中経済戦争の勝敗が定まらない現状で、日本が取るべき指針について解説しています。
ルトワック、米中対立は中国の体制崩壊までつづく!
毎日新聞10月14日付に、世界一の戦略家ルトワックさんのインタビューに関する記事が出ていました。なかなか衝撃的な内容ですので、ご紹介します。
米国防総省のアドバイザーなどを務め、戦略論研究で知られるエドワード・ルトワック氏が来日し、毎日新聞のインタビューに応じた。貿易や知的財産権などを巡る米中対立について「長期間に及ぶことになる。対立は中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう」と語った。
今起こっている「対立」は、「中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう」だそうです。深呼吸して考えれば、実に衝撃的な発言ですね。
米政界における親中派はもはや「壊滅状態」と指摘。
(同上)
アメリカの「親中派」は「壊滅状態」だそうです。驚くべきことです。拙著『中国に勝つ日本の大戦略』の3章で、「米中関係の真実」について書かせていただきました。アメリカは、ニクソンの時代から、基本的に一貫して「親中」でした。キッシンジャーは、70年代から「米中は事実上の同盟関係にある」と宣言していた。中国が急成長をつづけることができたのは、アメリカ(と日本)からカネと技術を好きなだけ受け取ることができたからです。レーガンもブッシュ(父)もクリントンもブッシュ(子)もオバマも、基本的には皆親中だった(オバマは、2015年3月のAIIB事件以降、反中)。ところが今は、「親中派は壊滅状態」だという。
現在は軍需産業や外交ロビーに加え、シリコンバレーなどのハイテク企業も対中圧力を求めるようになり、米政府の「締め付けが始まっている」と強調した。トランプ政権の発足直後、ハイテク産業は「自分たちのビジネスに干渉しないでくれという姿勢だった」が、中国による知的財産権の侵害事案が相次ぎ、現在は「ワシントンに来て、助けが必要だと要請するようになっている」という。
(同上)
なんと、シリコンバレーも「反中」に転じているそうです。アメリカは、「挙国体制」になってきました。
米中両国が核兵器保有国であることから「米中が軍事衝突する可能性はない」とも強調。ただ、その結果、かえって対立は長引き、共産党支配が終わる「レジーム・チェンジ(体制変革)」まで収束しないと予測した。
(同上)
この話、RPEで何度も書いてきました。米中共に、両国ばかりか地球を破壊できる量の核をもっている。だから大戦争(大戦闘)にはなりにくい。主戦場は、「経済戦争」に移行しているのですね。そして、
共産党支配が終わる「レジーム・チェンジ(体制変革)」まで収束しないと予測した。
そうです。
ルトワック説は日本にとって
ルトワックさんの意見が「真実」だとしましょう。日本にとっては、何を意味するのでしょうか?
1.安全保障面では、大きなプラス
皆さんご存知のように、中国は明確な「日本破壊戦略」をもっています。
- 中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」をつくろう!
- 中ロ韓で、日本の領土要求を断念させよう!
- 日本に断念させる領土とは、北方4島、竹島、尖閣・【沖縄】である!
- 日本には、【沖縄】の領有権はない!
- 反日統一共同戦線には、【アメリカ】も入れなければならない
全国民必読絶対証拠はこちら。
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● 反日統一共同戦線を呼びかける中国
中国の現政権は、「日本壊滅」を願い、実際積極的に行動している。ですから中共政権がなくなるのは、日本にとっていいことです。
2.経済では悪影響
アメリカとソ連の冷戦時代、2つのシステム間には、ほとんど経済交流がありませんでした(少しはありましたが)。それで、冷戦時代、日本は問題なく経済成長することができた。しかし、米中冷戦は、事情が違います。中国は、世界経済に完璧に組み込まれている。
というわけで、米中貿易戦争の悪影響から、日本は逃れることができないでしょう。来年再来年には、「消費税再引き上げ」「東京五輪バブル終焉」という2つの爆弾が経済に落とされます。私たちも今から準備をしていきましょう。
3.日本の針路
もうすぐ安倍総理は、中国に行く。ルトワックさんの話がホントであれば、安倍総理は「アメリカの敵国」に行く。「日本の軍事同盟国アメリカの敵国に行くのだ」という自覚をはっきりもっていただきたいと思います。
「先の大戦を思い出せ。米中貿易戦争で『歴史的岐路』に立つ日本」でも書きましたが、中国は負ける側です。日本は前回、負けるナチスドイツと同盟を組み、破滅しました。今回は、すでに「勝つ側」と「同盟関係」にある。大切に現状を維持していただきたいと思います。
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