世界に遅れをとった日本が、偏見を捨て「eスポーツ」大国となる日

 

「ゲーマーが夢を抱くことのできる社会」を日本でも実現したい

ところで、ポノスのユニークな8名のゲーマー社員たちは、どういった経緯で入社したのであろうか。

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ポノスのゲーマー社員。左から、トンピ?氏、ガリレオ氏、もけ氏

ガリレオ氏は、山口県の出身で高専卒業後、京都で8年間会社員として勤めていたが、ゲームが好きでよくゲームセンターで遊んでいた。13年にブレイブルーというアークシステムワークスの対戦格闘ゲームで日本チャンピオンとなり、14年には世界大会で優勝した。その後は仕事に追われて、2年ほどあまりゲームができず、上司からは「世界大会で優勝もしたし、そろそろゲームはやめて結婚したらどうか」と説教もされた。ゲームに対して世間の偏見が根強いことに心を痛めていたが、ポノスがゲーマー社員を募集するのを知って、その悪しきイメージを少しでも変えていきたいと入社した。

プレイ中のガリレオ氏。出典:ポノスHP

プレイ中のガリレオ氏。出典:ポノスHP

現在は、競技としてブレイブルーやドラゴンボール(バンダイナムコ エンターテインメント)の練習がメイン。それにプラスして、ゲームの広報や、ゲーム開発時に実際にプレイをしてアドバイスをする仕事をしている。

もけ氏は、新卒で入社した22歳。小学1年生の頃から格闘ゲーム、対戦ゲームの競技性に惹かれてプレイしてきたが、ゲームをやることにコンプレックスを感じ、友達にも隠して密かに腕を磨いていた。ちょうどアメリカ最大のエボリューションという大会で、ストリートファイターで5位に入賞。トップ8が全員プロゲーマーという中、唯一アマチュアで上位に入って注目を集めた。やはり、世間からのゲームに対する偏見を変えたいというのがゲーマー社員になった切っ掛けだった。

仕事はガリレオ氏と同様だが、試合に出る時にポノスの社名とチームカラーの入ったユニフォームを着て広報活動の一環として戦うことに、誇りとやりがいを感じるという。

トンピ?氏は、ガリレオ氏、もけ氏とは立ち位置が異なり、ゲーム実況を行うキャスターとして入社し、活動している。日本で5名ほどいる、ゲーム専門キャスターのうちの1人で東京ゲームショウ2018でも、開催期間中は連日、何らかの実況活動を行った。元々eスポーツのプレイヤーで、前職ではeスポーツを行う学生などを支援する仕事に就いていたが、もっと直接的にeスポーツ選手のセカンドキャリア構築や、世間の偏見を払拭できる仕事をしたいといった思いで、ゲーマー社員になった。

キャスターとしては、ゲームの複雑なルールをわかりやすく解説して、観戦者が楽しめるようにしたり、今起こっている状況をリアルに伝えたりと、野球、サッカー、格闘技、競馬などの実況のように、いかに臨場感を持って競技を盛り上げられるかに注力している。その他、広報としてゲームファンのオフ会、ファンミーティングを開くことも行っている。

また、今年から始まった、スーパーセルが運営するクラッシュ・ロワイヤルのアジアのプロリーグ戦に出場するチームメンバー5名が、スーパーセルから選手を預かる形で社員化している。

海外ではプロゲーマーは、ゲームで賞金を稼ぐだけでなく、有名になるとCM出演、雑誌の表紙やお菓子のパッケージになるなど、一種のタレント業も含めてアイドル的な人気を博す。その点では、一般的なスポーツ選手と同様である。そういったゲーマーが夢の抱ける社会を日本でも実現したいと、ポノスの板垣氏は力を込めた。

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