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監督署も混乱。来年4月「36協定届」は結局どこがどう変わるのか

時間外・休日労働に関する取り決めである「36協定」が、働き方改革関連法を受けて大きく変わることになりました。それに伴い、決まった書式での届出や、記載内容の正確さが求められることになるようです。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、36協定について書かれた働き方改革の特別条項内容を会話形式でわかりやすく解説しています。

働き方改革・特別条項

働き方改革関連法の最新情報、詳細が出てきている。36協定届の記載例(一般条項・特別条項)などのリーフレットもホームページに公開されだした。今まで、36協定の書式は任意だったが、来春からは決まった書式で届出をしなければならなくなるようだ。


新米 「時間外労働が長い事業所さんは、今度の働き方改革対策が大変ですね~」

大塚T 「そうよね。残業が月に100時間を超えてる会社さんはどうするか一緒に考えていかないとね~」

新米 「特別条項が変わるんですよね?」

大塚T 「そうなるわね。週に40時間、1日8時間を超えて労働となる時間外労働の限度は原則月45時間年360時間とする。特別の事情がある場合で労使協定があるときでも時間外労働の上限は720時間とする」

新米 「うまくまとめて言いますね」

E子 「年720時間以内で、原則を上回る特例の適用は年6回が上限。単月では、休日労働を含んで月に100時間。一時的に業務量が増加する場合、23456ヵ月の平均で休日労働を含んで月に80時間

大塚T 「その2、3、4、5、6ヵ月の平均で、休日労働を含んで月に80時間っていう件ですが、ネットで見ても『いずれにおいても』って書いてあるものと、違う内容が書いてあるものと見解が分かれているみたいなんです。どっちが正しいのですか?」

E子 「あぁ、それね。私も、どっちかわかりにくくて、確認してみたわ。正解は『いずれにおいても』よ。つまり、2ヵ月平均でも、3ヵ月平均でも、4ヵ月平均でも、5ヵ月平均でも、6ヵ月平均でも全ての場合において80時間以下であることが必要ね。1ヵ月ほど前に管轄の監督署にきいたときは、『まだ、わかりません』っていう回答だったわ。他の署でも、2ヵ月平均でと、6ヵ月平均だけで3ヵ月平均と、4ヵ月平均と、6ヵ月平均は、80時間を超えていても大丈夫って回答もあったわ。監督署も混乱しているんでしょうね」

大塚T 「こういうときは、もう少し落ち着いてから確認した方が良いんでしょうか」

E子 「行政の窓口に質問するのも良いけど、まずは根拠条文や労働省令告示などを確認することが大事ね」

新米 「わかりました。大元の確認ですね。ところで、新しい36協定のサンプル、厚労省のホームページにあがってますね」

E子 「来年4月から変わるんだものね」

新米 「そうですよね~。はやく準備しないと!」

大塚T 「そんなに慌てなくてもいいよ。4月1日より前に更新日が来る場合はまだ旧の書式でいいのよ」

新米 「あっ、そうか…。来月も再来月もまだ今のままで大丈夫だったんだ…」

大塚T 「そういうことね~。でも、今までは、任意の書式で良かったけれど、来春からは、書式も規定のものになるから、詳細まで正確にね」

新米 「え?今まで書式って任意だったんですか?」

大塚T 「そうよ。監督署に行ってごらん。いろんな書式が集まってくるわよ。今度からは、様式9号の2を使わないとね」

E子 「今度からは、特別条項を使う場合、もう1枚追加になるのよ」

新米 「そうなんですか、枚数も増えるんですか~」

E子 「チェックボックス欄ができて、そこにチェックができていないと受け取りもしてくれないそうよ。従業員代表の決め方もシビアになるわ。民主的に決めるということは変わりないけれど、労働省令に『使用者の意向に基づき選出されたものでないこと』という言葉がはいったのよ」

大塚T 「あらま、そんな文言が入ったんですかぁ。候補者の指名は当然ダメですよね? ベテランさん同士で話し合ってもらうなど、工夫が要りますね」

E子 「もうひとつ、とても大事なことがあるわ。特別条項を組む留意事項について、告示が出ているの。『当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められない』」

新米 「『通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合』って…」

大塚T 「毎月あるような場合でない、ボーナス商戦とかそういうことも時間外労働の理由としては書けなくなるってことですね。バッチリ予見できますもんね~」

E子 「そうなのよ。これは大変なことよ。機械が急に壊れたとかそんな理由しか特別条項には書けなくなっていくんでしょうね」

大塚T 「えぇ~!! そういうことになるんですか!?」

E子 「機械トラブル、製品トラブル、大規模なクレームへの対応、突発的な仕様変更、新システムの導入、書けてもこういった表現になると思うわ。来春から1、2年の間は、大目に見てくれるかもしれないけど、その先はしっかり管理していかないとね」

新米 「いま、100時間以上の時間外労働になっている会社さんは、労働時間削減をしっかり計画的に進めないといけませんね」

E子 「そうよ、みんな頼むわよ~!!」

新米・大塚「はーい!(^^)/」

働き方改革による長時間労働、36協定届について

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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