【書評】日本人がドイツに住んで判明、まるで似てない2つの文化

 

著者も当初は、公共交通機関はキッチリ時間通りだろうと思っていた。残念ながらドイツの交通機関はまったく信用できない。日本ではありえない事態に著者も翻弄された。ドイツは何ごともしっかりしている、というのは幻想だった。エコ・環境に配慮している、というイメージがあるドイツだが、日常レベルではエコというより、無駄や捨てるのが嫌いなただのケチであった。

ドイツは議論大国で、みんなが自己主張をする。著者は最初の頃、議論のようすを見て、殴り合いの喧嘩になるのではないかと恐れた。だが彼らは、いくら対立しようとも、議論が終わるとケロッと仲良く雑談している。ドイツは言葉を重視するから書類化が好きで法律規約契約書などが大きな意味を持つ

ドイツはなぜ言葉を重視するのか。まず、過去の経験である。学校ではナチス時代の過ちを徹底的に教え込む。みんなが同じ意見を持つこと自体に危機感があり、多様な意見があるほうが健全だという認識がある。様々な文化背景を持った移民がいるので、常識とか暗黙の了解という概念が成立しない。きちんと言葉や文章にしてして伝えその証拠として書類を残すのである。

更にドイツでは意見交換自体が、「カネのかからない娯楽」と理解されているフシがある、と見抜いた。著者が日本に危機感を持つのは、移民・難民問題に無関心であることだ。欧米がその問題で大揺れしているのに、我が身として考えたことがある人が殆どいないことだ。初めのうちは著者を舐めていたが、意外にしっかりとした考えがあり感心した。増刷になったそうだ。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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