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小さい手だからわかった。小さめスマホを大きく感じるカラクリ

年々大画面化が進みサイズが大きくなっていくスマートフォン。これに悩むのが男性にしては手が小さいというメルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さん。手にしっくり来るスマホが減っているが故の悩みだと言うのですが、手が小さい方なら「わかる」「あるある」という人も多いのではないでしょうか? しかし、山崎さんが行き着いた結論は、逆転の発想と言える違和感軽減の方法でした。

小さくなったのに大きく感じるスマホのこと

私は男性にしては手が小さい。どれくらいかと言うと、無理なく全開してちょうどピアノの鍵盤で1オクターヴ幅である。そうなると当然ながら、この手に合わせて道具を選ばざるを得ない状況にしばしば直面する。

典型例が各種グローブ類である。あっちの方が好いのにサイズがないからこっちで、といった妥協は日常茶飯事である。大ごとというわけでもないが、こんなことが1日の買い物中に何度もあればそれはそれで結構へこむ。

さてここ数年、この自分の小さな手のひらを圧倒的に占有しているのがスマホである。このガジェットも近年では大画面化・高画質化が進んですっかり大きいサイズが主流となった。

当然、自分としては小さい機種が好ましい訳だが、契約キャリアには現行で小さいタイプはAndroidとiPhoneに1機種ずつしかなく、自分がAndroidユーザーである都合上、選択の余地なく自動的に新機種は決まってしまうということになる。できることと言ったら色を選ぶくらいである。

ところが実際手に取ってみると、前の機種より大きく感じるのである。それも結構な違いなのである。念のために新旧両機種を向かい合わせて比べてみると、新しい方が大きさだけでなく厚さに関してもダウンサイジングされている。その事実を十分に認識した上で再び持ってみてもやはり大きく感じる。何となく持て余す感じなのである。

そこで形状に着目してみる。とは言え、基本スマホは平たい直方体である。つまり、6つの面と12の辺と8つの角で出来ているものである。これはある種の機能的デザイン限界のようなものだから、どのメーカーのどの世代でも大差はない。

しかし小異なら割にはっきりと分かる。例えば、旧機種では12辺の全てがラウンド加工されている。このため3つの辺の集まる角は8つとも全て丸くなっていて、全体として引っ掛かりのない形状となっている。これに対し、新機種はラウンド加工されているのは最も長い4つの辺のみである。このため最も面積の小さい天面と地面の長方形4辺に引っ掛かりが出来てしまっているのである。

おそらくこの形状の違いが新機種の方を大きいと錯覚させる原因となっているのであろう。つまり、機種そのものが小さいために手のひらへの収まりがよくなり、そのために却ってスマホ全体の形状が手のひらの感覚として記憶に残り、新旧の違和感を生じさせたという訳である。言うまでもなく直線的加工はラウンド加工ほど自然に指が回り込むことを許さないから手のひらでのホールド感は落ちる。その分、結果として大きく感じるのであろう。

ということは、逆に大きいタイプのスマホの方がより違和感なく機種変更できるのかもしれない。何故なら、もとよりスマホ全体の形状を手のひらへの収まりを基準にして意識することがないからである。これはちょっと皮肉な話である。

思えば自分は、結構手なぐさみにスマホを手のひらの中でパタパタとトランプのように回していたりする。そうしているうちに知らず知らず、手がスマホに馴染んでいったに違いない。そのような者が手に馴染むスマホを求めること自体、実はおかしなことなのかもしれない。

そういう訳で、今日もまだ慣れない危うい手つきで新しいスマホをパタパタやっている次第である。

image by: shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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