コラムは読者の関心も高く、コメントはいつも以上に多く100件ほどつきました。共感するコメントもたくさんいただきましたが、
- 個人の努力が足りない
- 切られる方が悪い
- リストラされたぐらいで自分の存在意義を失うのは理解できない
- 理想論をいうのは簡単。経営をしてみろ
などなど、相変わらず「自分だけは安全地帯にいる」と考えている人の多さに正直、辟易しています。
もちろん色々な意見があるのは好ましいことです。リストラの是非についての意見を問題視する気も毛頭ありません。
でも、その経営側の決断を「働く人の自己責任」とばかりに、個人の問題に帰結させる危うさが薄気味悪くて仕方がないのです。
「共感」と「うしろめたさ」。この二つの感情は、人間しか持っていません。
サルにも「心」があり、悲しみや嬉しさという感情を抱く瞬間がありますが、それを他のサルと共有しようとは考えません。他者とわかりあいたい、相手を知りたいという欲求はヒトにしかない感情で、それが「ヒトをヒトたらしめている」のです。
うしろめたさって、ある意味、死語ですよね。
「共感とうしろめたさ」が失われた社会で量産されるのは、ウツです。少々話が飛躍していると思われてしまうかもしれませんが、「自分だけは安全地帯にいる」という虚構に生きている人が、ここ数年爆発的に増え、彼らが醸し出す万能感が半端なくパワーアップしている。
それが今の日本社会の生きづらさのように思えてなりません。
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※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年12月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2018年12月12日号)より一部抜粋