収益の面で見れば同人誌のほうが儲かります。ただ、紙の本…というもので、収益を上げていく時代はもはや過渡期を過ぎたものという意見は一理あります。
確かに未だに何百万部という売り上げを出す本はありますが、全体部数としては当然下がっています。それは海賊版が悪いとか、子供の活字離れとか理由をつければいくらでもあるのですが、単純に競合するメディアが増えて、スピーディな展開では電子メディアに完全に押し負けたからだと自分は思います。
最新ニュースを原稿にして、それを校閲し、デザイナーがカッコいいレイアウトに流し込み、それを編集者が何度もチェックし、印刷所で紙に印刷される…。情報を伝えるだけであれば、WEBのほうが一足であり、関わる人間も少ないので人件費も圧縮できますし、なにより早い。商業WEBでさえ今や遅いと言われる中、商業出版物で「ホットニュース」を配信するのは正直無理ゲーなのです。
故に雑誌がすたれるのは当然…本当に良いこと無しの商業出版物に見えますが、そうでもない点もあります。
まず表現にある程度の自由が認められること。ア理科でさえ現在の基準では、犯罪幇助だの、武器製造指南など、いくらでも表現規制的な言いがかりを付けることが出来ます。しかし、それを言い出すと、この世の全ての技術書は悪用したらアウトなわけで、そもそも論がおかしいことになります。
表現の自由以上に、知る権利の自由もあるわけで、そうしたものを「感情論」で封印することは非常に危険なことです。これが行き過ぎたものが極端な国粋主義だったりファシズムなどの台頭のきっかけとなります。そんなただのエロ規制や表現規制程度が…と思う人は歴史を勉強してみてください。ファシズムのきっかけは魔女狩りです。
そして出版社というモノを介していないだけで、同人誌は個人出版物なので個別撃破されやすくなります。公権力に個人はとても勝てるものではないのです。
次に、商業出版物はISBNコードで管理され、なんやかんやで図書館や国会図書館に収蔵され、歴史に残るということです。自分の生み出した怪物『危ない28号』も国会図書館に収蔵されていたりします(笑)。ようするに古くから存在するので業界団体がそれなりに機能して、それなりにモノが残る世界になっているということ。個人が作っているモノは残りにくいと言えます。