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「最後の一点ですよ」と即断を迫る接客が顧客に後悔をさせる

接客で重要とされる「クロージング」。商品を買ってもらうために決断を促すことですが、「その手法を間違えてしまうと取り返しのつかないことになる」とするのは、接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。坂本さんは今回、自身の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』でその理由を記しています。

即断を迫る売り方

接客販売という仕事の中身を、細かく切り分けると、いろんな要素が出てきます。アプローチだったり、提案だったり、ヒアリングだったりと、多くの要素で、接客販売という行為は成り立っているわけです。

その中に、「クロージング」という要素があります。「クロージングをかける」みたいな言い方をする部分なのですが、お客様に、商品を買ってもらうために決断をしてもらうようなことを指しています。

接客販売においては、これが結構重要だとされていて、「どんなクロージングをかけるか?」「どんな言葉でお客様の購買意欲を刺激するか」といったところを気にしている人は多いでしょう。いわゆる「殺し文句」的なのを求める人が多い部分でもありますよね。

この「クロージング」。ほとんどの販売員(営業マン)は、その場で即断してもらう方法を探そうとします。今やっている、その接客の中で、買ってもらえるクロージングをしようとするのです。

確かに、今すぐ買ってもらうことができれば、即売上に繋がるのですから、その気持ちはよくわかります。ですが、この売り方、つまり、「即断を迫る」売り方ばかりを続けていると、ほぼ間違いなくその販売員の顧客はいなくなります。お客様が、後悔する可能性が高まるからです。

人は、自分がお金を使ったことを、正当化したいものです。そりゃ、損をしたいと思っている人はいませんから、損をしたことを認めること自体が、とても勇気のいる行為だからです。ですから、お金を払って買い物をしたことに対して、できるだけ、「失敗したとは思わないようにします

でも、そう思いたくても、失敗したと思うことは少なからずあります。例えば、衝動買いした洋服が、自分では全然着こなせなくて、クローゼットにしまいっぱなしになっていたとしたら、まず成功とは思えませんよね。金額が上がれば上がるほど、後悔の念はどんどん増していくことでしょう。こういうことは、よくある話です。

恐ろしいことに、ここでも人は、自分がお金を使って失敗したとは思いたくないので、接客をした相手を頭に思い浮かべます。そこでもし、「即断を迫る」ような接客をされていたとしたら、ものすごくネガティブな感情が生まれてしまうのですね。

「あの時、あんなこと言われたから買ったのに…」
「あんな接客さえされなければよかったのに…」

みたいな感情が、ふつふつと生まれてくるわけです。すると、接客をしてくれた販売員のことが信用できなくなって、その店に行かなくなったり、悪い評判を立てられてしまいます。何も良いことなんてないのですね。

私がこういう話をしている理由は、実は、実体験から来ています。私自身、接客をしている中で、即断を迫るような売り方をしたことは何度となくあります。

「今日買っておかないと、もう手に入りませんよ」
「明日まで残っているかどうかわかりません」
「最後の一点ですよ」

こういう言葉を言いながら、お客様の買い気を促すクロージングをする機会はたくさんありました。しかし、そこから数ヶ月経って、自分のところに会いに来てくれるお客様はほぼ0に近かったのです。

残っていた顧客と呼べるようなお客様は、即断を迫るような売り方をした人ではなくて、やっぱり、自然に買いたくなってくれて、買い物をしてくれた人ばかりでした。

これが示すように、その場しのぎの売り方で、お客様に販売ができて、多少売上が上がったとしても、結局後には何も残らなくなるんですよね。特に昨今、リアルショップのお客様の絶対数が減っていると言われている中では、一人一人のお客様をそうやって減らしていると、最後には、大打撃を受けることになります。うまいクロージングワードが見つかって、その時はよく売れたとしても、後々自分たちが辛い思いをするだけなのです。

即断を迫るのは簡単です。その時でしか手に入らない限定感を出すとか、やり方は色々あるでしょう。でも、それで売れて満足しているということは、後のことを何も考えられていない、二流の販売員に過ぎません。

本当に一流の販売員として、お客様に愛してもらうためには、どんな売り方が求められるのか?年末年始、セール時期の今だからこそ、あえて考えてみましょう。

今日の質問です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 坂本りゅういち 【発行周期】 日刊

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