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レンジや炊飯器をダイニングに置くと夫が料理を手伝うのはナゼか

調理家電の置き場所をキッチンで固定化していませんか?オーブンレンジや炊飯器などは、ダイニングやリビングダイニングに移すことで暮らしが大きく変わると提案するのは、メルマガ『旬刊!ブログで言えない家電の話【神原サリーとゆかいな仲間たち】』の著者の一人で家電コンシェルジュの神原サリーさんです。利便性が上がるだけでなく、嬉しい変化が家族に起こると、調理家電のキッチンからの解放をおすすめしています。

デザインの変化が後押し「調理家電をダイニングへ」

この3~4年、提案し続けていることに、「調理家電をダイニングへ」ということがあります。

オーブンレンジや炊飯器を始めとする調理家電は、誰もがキッチンに置くものだと思っています。でも、実際に使う場所であるダイニングなどキッチンから外へと視点を変えることで、ぐんと便利になります。住まいに関わる展示会などで「家電と住まい」についてお話をさせていただく際に、この提案をしてみると同調してくださる方が多く、新築やリフォームのタイミングで置き場所を念頭に置いて、リビングやダイニングのプランニングするという声も出てきています。

ブレンダーやフードプロセッサーなどの“調理準備家電”については、水まわりの近くにあったほうが便利ですが、炊飯器はダイニングテーブルのそばに置いてあったほうが、ごはんをよそうにもお代りをするにも使い勝手がいいもの。電子レンジやオーブンレンジも、出来たての料理をテーブルに出すにしても、仕事で遅く帰ったご主人がテーブルに用意された料理を温め直しする際にも、導線が短くなってぐんと便利になるはずです。

すでに大型化した冷蔵庫の置き場所が、従来の“キッチンの奥”から、ダイニング寄りの“みんなに見える位置”へと変化してきていることは、よく知られています。それがガラスを採用したプレミアムデザインの人気にも繋がっているのですね。冷蔵庫がそんな立ち位置になっているのなら、レンジや炊飯器がリビングダイニングへとより使いやすいところに場所を移してもいいのではないでしょうか。

蒸気の出にくい炊飯器や後ろ姿も美しい炊飯器など、安全性やデザイン面でもオープンな場所に置きやすいものが増えてきているのもうれしいことです。一歩考えを進めれば、ダイニング用の“2台目レンジ”という新しい視点でのモノづくりにも繋がるのではないかと思っています。

使い勝手の点で置き場所を変える提案をしましたが、利点はこれだけではありません。キッチンでどーんと場所を取っていたオーブンレンジや炊飯器がいなくなると、そのスペースにこれまで気になっていた新しいキッチン家電を置くことができるのです。美容や健康への意識の高まりで人気のあるスロージューサーや、新しい食感と食べやすさで注目されているチョップドサラダができるマルチチョッパーなど、次々に登場するキッチン家電に目が奪われても購入しない最大の理由は「買いたいけれど置くところがないから」だといいます。そんな人たちの背中を押す手立てとしても、置き場所の新提案というのは有効だと思うのですがいかがでしょうか。

ほかにもホワイトのプレートを採用したインテリアにもなるホットプレートや、愛らしい形をしたワッフルメーカー、毎朝使うトースターやコーヒーメーカーなど、出しておきたくなるデザインの家電が次々に登場してきています。こうした家電も従来なら、使い終わったらどこかに収納されていたものが多かったと思いますが、ダイビングやリビングの棚などにずっと出しっぱなしにしておけば、使う頻度も上がり、愛着を持って使えるようになることでしょう。

調理家電の置き場で変わる家族の関係

これまでキッチンにあった家電たちをダイニングやリビングダイニングへと解放すると、家族の関係も変わってきます

香ばしい香りとともに焼き上がりの合図がしたら、焼き立てのピザをオーブンから取り出すのは“パパ”の役割。味噌汁をテーブルに運ぶ傍らで、子どもが炊飯器からごはんをよそう…というように、自然とお手伝いができる環境づくりができるのですね。 仕事も育児も家事もみんな一人で大忙し、「どうしてみんな手伝ってくれないの?」と嘆く女性(ママ)は多いものですが、キッチンを“聖域”のようにしていて、家族は入り込めず、何を手伝っていいのかわからないということも。この矛盾を突破する上でも、調理家電をキッチンから解放するのは有用というわけです。

見えるところに置いてあれば手に取りやすく、頼むほうも気軽に声をかけやすくなります。最初のうちは、ごはんをよそうだけだったお手伝いも、大きくなるにつれて、お米を洗い、水加減してセットするところまで関わってくるようになるのはそんなに高いハードルではないはず。また、リビングの棚にいつもスタンバイしているおしゃれなホットプレートがあれば、休日にはパパがたこ焼きづくりに精を出してくれるかもしれません。こんなふうに家電ごとの担当が決まれば、棚から出して、料理をし、最後に再び棚に置くところまでをパパがやってくれるようになるのではないでしょうか。

小さいころから当たり前のように食事の支度を手伝ったり、助け合ったりする環境を作っておけば、1人暮らしをする際にも料理の基礎が身についていたり、結婚しても家事を奥さん任せにしない大人になることでしょう。

自然に手伝い、家族が支えあっていく“参加型”のリビングダイニングの魅力は、子育て世代のファミリー層だけではなく、シニア世代にもメリットがあります。定年を迎えるまで家事は一切、奥さん任せだった場合、最初のうちは「そこにある調理家電」に触れやすい環境を作ることから始めるとして、次のステップでは、興味のある調理家電の「担当」になってもらうのです。

男性はおいしいごはんへの熱意が人一倍強いようですので、いわゆる“高級炊飯器”を自分で選んで購入してもらい、「ごはんの担当」になってもらうのもいいでしょう。やがてはお米にこだわり、精米機に興味を持ち、さまざまな炊き分けに挑戦するなど、おいしいごはんを追求していくことがきっかけで、次は違う家電や料理にも興味を持つかもしれません。パン好きの人ならトースター、健康志向の人ならジューサーなど選ぶところから、使ったりお手入れするところまで、責任を持ってやってもらえるようになれば会話も弾み、家事への参加もスムーズになることでしょう。

調理家電から始まり、続いて洗濯機や掃除機など、“モノ”選びへの興味関心から、その先の家事(コト)へとつなげ、自然な形で参加してもらえるような流れを作る──。魅力ある家電が増えている今だからこそ、こんな関わり方もいいのではと思います。そして視点を変えたこれらの提案は、きっと新たなモノづくりにも波及するに違いありません。 (神原 サリー)

image by: Elnur, shutterstock.com

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