どうした、無印良品。不振の一因に「お値段以上」ニトリの訴求力

 

ニトリに劣る訴求力

家具やインテリア、ファブリックスは好調なニトリと競合する分野だ。ニトリは近年、無印良品が得意とする都心部にも出店を強めている。例えば、15年4月に東京・銀座にある百貨店「プランタン銀座」に鳴り物入りで出店した。ニトリ初となる百貨店への出店ということで話題になった。その後も次々と都心部に出店を進めている。無印良品の生活雑貨が苦戦しているのは、ニトリに顧客を奪われた側面もあるだろう。両者の競合度は増しており、無印良品としてはニトリとの競争激化に備え、品ぞろえの強化を図りたいところだ。

品ぞろえの強化のほか、売り場における生活スタイルの提案力の強化も喫緊の課題だ。3~11月は生活雑貨の客単価が前年同期比7.7%減と大きく落ち込んだが、売り場においてそれがうまくできていなかったことが影響した可能性がある。提案型の売り場にならず、訴求力が弱まっていたのではないか。私見だが、ニトリは売り場で生活スタイルの提案が高いレベルでできているが、無印良品はアイテム別の陳列一辺倒でニトリほどのうまさがない印象がある。

ニトリは提案する生活スタイルの案を複数用意しそれぞれを各売り場でうまく表現している。例えば、天然木のぬくもりが感じられる「ナチュラル」や、“和”の雰囲気が感じられる「ジャパニーズモダン」といった生活スタイルを提案し、それぞれの生活スタイルを表現するかたちで商品を適切に組み合わせて各売り場で陳列している。来店客は好みの生活スタイルが表現されている売り場で商品をまとめ買いすれば事足りる。無印良品もそういった提案力をニトリレベルにまで引き上げる必要があるだろう。

これを実現するには店舗の大型化が必要だ。アイテム別で陳列する売り場に加えて生活スタイルを提案する売り場を設けるとなると、それ相応の売り場面積が必要になる。ニトリがこれを実現できているのは、売り場面積を広くとれる郊外を中心に出店を進めてきたことが大きい。一方、無印良品は賃料が高い都心部での出店が中心だったので十分な売り場面積を確保することができず、生活スタイルを提案する売り場を構築することが物理的に難しかったといえるだろう。ただ、近年は大型店の出店を積極的に進めており、今後は変わっていきそうだ。

国内は伸び悩んだ一方、海外は好調だ。通期の業績見通しは、国内の営業収益が前期比0.9%増の2,368億円(従来予想は7.2%増)と微増にとどまり、営業利益は7.5%減の264億円と従来予想(同3.0%増)から一転して減益となる。一方、海外は営業収益が19.2%増の1,725億円営業利益が26.8%増の204億円と従来予想を据え置いた。

海外は特に中国が好調だ。中国の店舗数は3~11月の間に17店増えて246店となった。中国の全店の売上高は同期間に12.0%増収を確保。店舗数は18年12月~19年2月に10店増やして256店にする計画だ。昨今は中国の景気減速が指摘されているが、良品計画は強気の出店を行なっていく考えだ。11月末の海外店舗数は482店で国内の423店上回る。国内は横ばいが続いているが、海外は中国がけん引するかたちで大きく伸びており、今後も成長ドライバーとなりそうだ。

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