どうした、無印良品。不振の一因に「お値段以上」ニトリの訴求力

 

「衣食住」すべてを扱う強みを活かす

良品計画は通期業績見通しの下方修正の発表と合わせて18年3~11月期の連結決算も発表した。営業収益は前年同期比8.7%増の3,042億円、営業利益は3.9%増の348億円だった。純利益は30.2%増の303億円で、投資有価証券の売却が寄与した。

今後、国内では「食品の充実化が成長のカギとなりそうだ。無印良品といえば、生活雑貨や衣料品のイメージが強いが、最近は食品が充実してきている。3~11月期の食品の既存店売上高は前年同期比14.0%増と大きく伸びており、生活雑貨(同0.3%減)や衣料品(同8.2%増)よりも伸び率が大きい。食品は伸び代があり今後の伸びが期待される

良品計画は食品を強化するため、食品が充実した無印良品の店舗を次々と開発している。17年7月に旗艦店の「無印良品有楽町店」(東京・千代田、18年12月に閉店)をリニューアルオープンし、青果の販売(不定期販売)を始めた。18年3月には大阪の「イオンモール堺北花田」に食品をテーマにした大型店を開業し、青果や精肉、鮮魚の販売を始めている。同年4月には千葉県鴨川市に道の駅風施設「里のMUJIみんなみの里」を開き、農産物直売所を設けて青果を販売している。

18年9月には冷凍食品の販売を一部の店舗で始めた。おひたしなどの総菜や、雑穀米を使用したおにぎりなどのご飯もの、肉じゃがなどの煮込みものなどを扱っている。日本冷凍食品協会によると、17年の冷凍食品の生産量は過去最高だった16年と比べ3.0%多い160万トンとなり、金額ベースでは4.5%増の7,180億円と好調だった。背景には、共働き世帯の増加で食事を手軽に済ませたい消費者が増えて「時短需要が拡大していることがある。無印良品としてもそういった需要を取り込むことで売り上げの拡大を図りたい考えだ。

無印良品は「衣食住の3分野すべての商品を扱っていることが特徴だ。競合のユニクロやニトリなどカテゴリーキラーにはない大きな強みとなっている。ただ、食品はこれまでそれほど強くはなかった。現在の食品の売り上げ構成比は1割にも満たず、後回しになっていた感が否めない。これからは、食品を強化することで「衣食住」のバランスをよくして独自のコンセプトを確立し、ユニクロやニトリといった競合に対抗したい考えだ。

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【著者】 佐藤昌司 【発行周期】 ほぼ日刊

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