なぜ台湾人には日本好きが多いのか?世代で微妙に違う事情と理由

 

日本統治時代を経験した台湾人「日本語世代」にとって、日本は祖国です。自分は日本人だという誇りを持って、日本に対する憧憬の念を素直に抱き、日本の教えに忠実に生きてきました。李登輝元総統も、その一人だったということを、秘書である早川友久氏が証言している記事があったので以下に引用しましょう。

李登輝は一連の民主改革を、一滴の血も流さず、一発の銃弾も打つことなく完成させた。「台湾の人々に枕を高くして寝させてあげたかったから」という信念を貫いた李登輝に、その強さの源を聞いて刮目したことがある。

「日本教育だよ。人間生まれてきたからには『公』のために尽くせ。そう叩き込まれてきたんだ。だから私は国民党の権力を手にしたときも、『私』のことは全く考えることなく『公』のために使おうと決心できたんだ」。

そして李登輝はこう続けたのである。「だから台湾の民主化が成功したのは、日本のおかげでもあるんだ」と。(12月22日、Wedgeより)

李登輝が「台湾民主化は日本のおかげ」と語るワケ

一方で、現在の台湾の若者にとっての日本は、「非常に親近感のある隣国」であり、決して祖国ではありません。台湾人の若者にとっての祖国は、中国でも日本でもない「台湾」です。それは、中国「一国二制度」の台湾でもないのです。日台における人々の捉え方には、こうした世代間の隔たりはあるものの、互いに非常に親近感を持った友好的な状態であることは間違いありません。

「日本語世代」がどんどん減ってきて、当時を懐かしむグループが一つずつなくなっていくことには、とても寂しさを覚えます。台湾名物であった、日本語でカラオケを歌うグループなども、そのうちなくなってしまうのかと思うと、本当に寂しい限りです。

しかし、彼らの気持ちは確実に次世代に受け継がれています。例えば、祖父母から日本のことを聞かされて育った若者は、日本に興味を持ち、日本語を勉強したり日本に留学をしたりといった、違う形での交流が生まれています。日本が台湾を統治したことから始まった日台関係は、時代とともに形を変えながらも、確実に生きているのです。

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