哈日族が主に好きなものは、戦後日本のサブカルチャーです。マンガ、アニメ、ポップミュージックなどの分野で、日本から発信されるコンテンツは台湾だけでなく、海を越えてアジアや欧米でも人気です。それほど人の心を掴むオリジナルコンテンツを日本が発信しているのです。代表的ものとしてはジブリ作品などが挙げられます。韓国政府が国策として日本の文化をシャットアウトしようとしても、止めることはできませんでした。それほど日本のサブカルチャーは魅力があるのです。
中国は、「反日教育」や「反日メディア」を徹底的に利用して、国民が反日感情を抱くようにマインドコントロールしていますが、それでも、完全に人々を反日にできません。
台湾では、先の選挙の際に福島県産の食品の輸入の是非を問う公民投票を行った結果、輸入反対が多数を占めました。世界に反日をアピールしたい元台北市長のカク龍斌らは、この結果を喜び、勝ち誇って「世界で最も反日なのは台湾」だとアピールしていますが、それは台湾でもごく一部の人々です。多くの台湾人は、反日感情はあまり持っていません。
司馬遼太郎は、かつて李登輝元総統との対談で、台湾は日米中からの文化が入り混じっており、もっとも将来性が高いという司馬氏独自の「史観」を示しています。「純粋」よりも「混交」のほうが望ましいという文化観です。それは、古代の原始神道の「習合」思想からくるものではないかと私は思っています。
戦後の台湾は、教育面では中国の影響を、経済面では日本の影響を強く受けています。そして、軍事面と政治面ではアメリカの影響を強く受けました。こうして出来上がった台湾は、すでに中国とは大きく離れた存在となっており、ことに政治、軍事、外交面ではアメリカ式と言ってもいいほどです。「日本語世代」の人々が支えた台湾は、戦後70年以上、こうして独自の道を歩んできたのです。
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