なぜ台湾人には日本好きが多いのか?世代で微妙に違う事情と理由

 

去年末、台湾で行われた選挙で、劇的な逆転劇を見せて高雄市長に当選した韓国瑜は、いわゆる外省人ですが、インタビューで日台関係について以下のように答えています。

「(コップを持って)これが台湾です。中には3つの文化が入っています。米国文化、中華文化、日本文化です。この3つの文化がすべてこの島にあり、台湾はこの3つの文化と経済力を吸収して健康に強く育った『子供』なのです。米中日の世界3大経済体が台湾内部で衝突すれば台湾は衰え、弱体化します。」

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この発言を見て、世代交代を感じました。非常に客観的に、日本も台湾を構成する重要な一部として捉えるべきだとさらりと言っているのです。ここには、なんの個人的感情も入っていません。「日本語世代」が持つような日本への憧憬の念はもちろんないし、台湾の若者が持つような親日感情にも左右されていません。

ただ、台湾の未来を築き上げていくには、どんな要素を重視すればいいのかを語っているのです。日本時代が台湾に残した遺産は、李登輝元総統を筆頭に、すべての台湾人に受け継がれ、これからの台湾に生かされようとしています。その過程で、「日本語世代」の減少、いずれは消滅などの残念なこともありますが、次を担う人々は彼らに敬意は払いながら、前に進んでいくのです。

「日本語世代」の交流会が解散というニュースを聞いて、「残念」と思う人は少なくないと思いますが、逆にそれを知らない人も少なくないのではないでしょうか。

「日本語世代」は、90歳代でも若いほうです。かくいう私も、アメリカ軍の空襲を経験した最後の「日本語世代」の一人です。「日本語世代」は、戦後台湾の各分野での草分け的存在であり、名実ともに実力者の方が多いのが特徴です。そんな彼らが消えていくのは自然の摂理であり、後継者がいないのも仕方のないことです。

かつての台湾少年工が戦後になってつくったグループ「高座会」のように、二代目の後継者が受け継いでいる例はまれなケースです。ただ、彼らの気持ちは、90年代に台湾に登場した「哈日族」(日本大好き族)にバトンタッチして、形を変えて継続しています。

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