Amazonだけじゃない。日本に本部がないと税金が発生しない不公平

 

著者による解説

この問題は、実はけっこう難しい要素を秘めています。グーグルの課税漏れ自体は、多国籍企業にはありがちなものです。税金が極端に安いシンガポールに本部を置き、そこに世界中の子会社の利益を集中させて、グループ全体の節税を図るということです。

もちろん、日本の税務当局としては、グーグルの日本法人の利益を、シンガポールの本部に不当に吸い上げられることを見過ごすわけにはいきません。日本の税法では、国際企業の各国の支店間の取引について価格に不自然な高低があれば是正できる、ということになっています。この税法に基づいて、東京国税局は課税漏れの指摘をしたのでしょう。

が、この問題には、それ以外に大きなポイントがあります。グーグルやフェイスブックなどは、モノやサービス自体を売るのではなく、サービスの基盤を提供する業種であり、「プラットフォーマー」と言われています。GAFAのうち、特にグーグルとフェイスブックは、自分自身でモノを売るのではなく、データを駆使し、広告事業、販売事業の手助けをするという業務を行っています。

たとえば、グーグルの主な収入源は広告です。が、従来の広告と違うのは、自社の作った検索ページを通じて検索ページを利用している人のを反映した広告を打つということです。これにより、広告の出稿者は、効果的な広告を打つことができるのです。フェイスブックも同様に広告が主な収入源で、フェイスブックの利用者の嗜好を反映させた効果的な広告を打つことを大きな特徴としています。

こういうプラットフォーマーという事業者の場合は、税務当局にとってはさらに難しい問題があります。というのも、こういう事業は、日本に子会社や事業所を置かずともやろうと思えばできます。たとえばアメリカにしか営業所を置かずに、各国の言語ができる人材をアメリカの営業所におき、世界中の顧客の相手をするのです。顧客の方も、わざわざ事務所に出向いて広告の依頼をするのではなく、メールやテレビ電話などで済ませることができるので、労力が省けます。

ところが、日本の税法では、外国の会社に対して、日本の税金を課す条件として、「日本に子会社や事業所などが設置されていること」というのがあるのです。つまり、日本に子会社も事業所もなく、ただネット上だけで商売しているのであれば、日本の税金は課せられないのです。

グーグルの場合は、日本に法人があるから日本の税法の適用ができるものの、日本に法人や事務所を持たずに、ネット上だけでビジネスをしていれば、原則として日本の税法の適用は受けません。つまり、日本の会社が、払った広告料などの収入に関して、日本の税金は課せられないのです。実際に、そういう企業はたくさんあります。

海外のインターネット会社が、日本向けのプラットホームを提供しているようなケースは多々見受けられます。そういう会社に、日本人が支払うサービス料、広告料などには、原則として日本の税金はかけられないのです。「国内に子会社や事務所がなければ課税できない」というのは、日本だけじゃなく、多くの国の間で常識的な税制となっています。だから、日本以外の他の国でも、この問題は生じているのです。

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