ほぼ平均寿命82年を3分割してわかった「人生に老後なんてない」

 

まず27歳くらいまでは誰もが皆学生なのである。それは教育の場にあっても、それ以外の場にあっても同様にである。学生と言うのに違和感があるなら、新人、部下、弟子、何でもいい。とにかく彼らは学ぶ人なのである。それ故、彼らに対するには厳格さと同時に寛容さをもって臨まなければならない。が、どうであろう。現実には前者も後者もおろそかにされてはいないか。

また最後の10,000日に関しても価値観の書き換えが必要である。そもそもこの10,000日は54歳から始まり82歳まで続く。つまり、この分割法だと老後や余生といった概念がなくなるのである。大体、老いさらばえたその後は病か死しかないではないか。余った生命とはまた随分な言い様ではないか。これではダメである。もっと積極的に世の中に関わらなければならない。54歳以上は誰もが人生経験的指導者なのだから若者に対して果たすべき役割は大きい

勿論、人それぞれで事情や立場は異なる。しかし、このラスト10,000日の貢献があって初めて貸し借り無しの人生と言えるのではないだろうか。「若造のためになぞ誰が」とどうしても業腹なら、「情けは人のためならず」自分のために功徳を積むとでも考えればいい。

このように、10,000日×3の人生観においては、どの10,000日をとってみても大仕事であるということが自ずと分かる。それだからこそ一日一日、やりたいこと、やるべきこと、そしてできることをよくよく考えて生き続けていきたいものである。

その上で、幸運にも平均寿命より長く生きることが許されたならその時こそ、老後なり余生なりのあり方を改めて考えてもいいのではないだろうか。

image by: dubassy, shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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