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大人になり改めて思う。年下や目下の人との約束を絶対守るべき訳

いくつになっても人間関係というのは難しいものですし、さらに「味のある」人間関係となると、長い時間をかけてじっくりと育てて行くものですから一朝一夕に作り上げられるものでもありません。今回の無料メルマガ『生きる!活きる!『臨床力』』では著者で獣医師と臨床心理士の資格を持ち、大学で教鞭も執られている渡邊力生さんが、長年使った長財布の思い出と絡めながら、「ええ味」の人間関係構築に向けて、約束を守ることの大切さを綴っています。

プロミスだ!!

みなさん、こんにちは。 今日は私がふと思いついた、理想的な人間関係のイメージについてお伝えしてみようと思います。

年季の入ったもの。みなさんもお持ちではないですか?捨てられない毛布やぬいぐるみのように使い込まれて色褪せてボロボロになってしまっているような物もあれば、使い込んで皮の色が変化して所謂ええ味が出ている物もあるでしょう。それぞれに思い出が詰まっていますから、汚いから、味があるから、イイとか悪いとかという判断はあまり意味をなさないかもしれませんが、今日取り上げたいのは後者です。

私は小さな頃から色々な所で物を落としたり忘れてきたり、そしてガンとぶつけて壊してしまったりと(汗)、いわゆる「物持ちが良いほうではなかったんですね。特にどこかで落としたり、忘れてきたり、時には盗まれたり(涙)ということは頻繁に経験してきました。

ただ高校生の時に生まれて初めて買った皮の長財布だけは何故かずーっと使い続けていまして、現役としては15年以上仕事をしてくれました。日常使わなくなってからも、子どもの遊び道具として数年は“余生”を過ごしていましたが、今回引越しをする少し前についに別れを告げました。

ふとその財布のことを思い出したんですね。さすがにもう未練とか哀愁といったものはないのですが(汗)、文字通り色々な物理的もしくは化学的ダメージ(汗)を受けて、まさしくええ味の出ている財布だったなぁとは思い出されます。

人間関係というのもそういうものなのかな、とその時に思ったんですね。

じっくり長い時間をかけて、時に優しく包まれ、時に揉まれ、時に笑ったツバが飛んで来て、時に涙を垂らされたりして、ちょっとずつちょっとずつ良い風合いが出てくるんですよね。財布と人間関係って似てると思いませんか?

もちろん取り返しのつかないようなことをしでかして、もうその関係が終わってしまうなんてこともないわけではないですが、それでも、短期的に厳しい時期が続いても、長いスパンでみれば良いこと半分、悪いこと半分。

そうやって使い込まれて使い込まれて、ようやくしっくり手に馴染む肌触りや色合いをまとうことができる。それこそ10年や20年ではきかないかもしれませんね。

でも“ええ味”が出て来たからといってそこで油断してはいけませんね。使い込んでいるということは色んなモノを財布も人間関係も抱え込んでいます。ケアを怠ると急にボロボロとわずかなほつれから崩壊が始まってしまうかもしれません。

一喜一憂でもいけないし、油断してもいけない。

そのように人間関係をじっくり良いものに醸成していくための方法論はたくさんあることは言うまでもないのですが、まずはシステムといいますか概念というものが大事だと思うのです。それがないところではいくら人間関係を円滑にするテクニックだ!なんて言っても意味がないと思うんですね。そもそも作り上げようとする関係のイメージが違っているわけですから。ルールが変わってきます。

もちろん人それぞれ人間関係に求めるものが違っていて当たり前ですので、そのシステムや概念を押し付けるなんてことはできません。ですからそれがピタッとくる人と関係を育んでいけばいいのです。 それが私で言えば「使い込まれた革製品というイメージなんでしょうね。

だからといって、自分がそんなじっくり醸成していくような人間関係を構築しまくっているかと言えば、決してそういう訳ではありません。使い捨てと思われてもしかたがなかったり、そもそも縁を切られてしまうようなコミュニケーションばかりとってきてしまいました。

そういう関係性の中に生きてきたことにようやく気付き疑問を持つことができるようになってきたというのが、偽らざる私の現状であろうと思います。

その中で私が絶対にこうしたほうが良い、と思っていることがあります。それは、 「できない約束は絶対にしない特に年下目下の人との約束は絶対に守るということです。 それがたとえ口約束であっても、ですね。

自分が先輩や目上の人と約束を結んでいただいた時には、それが同級生や同僚、後輩や目下の人と約束した時と比べ物にならないぐらい期待してしまわないですか?期待が大きいだけにそれが反故になった時のショックも大きくなってしまわないですか?

少なくとも私はそうです。

昔を思い出すと…、はるか昔になりますが、大好きだった伯父さんが小学校入学のお祝いに家に来てくれると言っていたのに、来てくれなかったことで大泣きしていたことを今もハッキリと思い出します。逆に自分の父親は絶対に約束を守るひとでしたね。なので…、私も子どもとの約束は絶対に守るようにしています。よほどの理由がない限りは。少しでも自信のない約束はしません

約束を守ることの大切さは今更私が語るまでもないことですが、約束をきちんと守るという、一見目立たない営みが、さきほど申し上げたような「味のある」人間関係を作る上で一つずつ一つずつ刻まれていく、一層一層上塗りされていくんだろうなぁ、と、油断すると約束を反故にしそうになる自分を躾けるために私はイメージするようにしています。

約束を守るという当たり前のことも、10戦10勝するのは相当難しいことです。私もたくさん裏切ってきましたし、裏切られてきました。だからこそ、その当たり前の積み重ねの価値が今となってはとてつもなく大きいと感じています。

改めて申し上げますが、あくまでそれは私の考える理想の人間関係であり、私なりのアプローチです。ただ、あの使い古した財布を捨てる前に撮った一枚の写真が、それもあながち間違っちゃいないよね、と語りかけてくれているような気がするのです。

今日は…、あの高校2年生の時の神戸mosaicで買った財布に思いを馳せながら…、ちょっとだけセンチメンタルに綴ってみました(汗) 。

それではまた。Ci vediamo!!

image by: Shutterstock.com

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「臨床」という言葉は、人が横たわる床や寝台というギリシア語をルーツとし、元々は宗教的な言葉として用いられていました。それが医療、心理学、教育の世界でも用いられるようになり、徐々に「現場」という意味合いが強くなってきました。  しかし現場というのは何も医療などの専門的な分野に限ったことではありません。人が人に出会う場面は全て「現場」であり「臨床」であると言えます。様々な場面で「生きる」方にとって「活きる」知識や気づきを提供する、すなわち「臨床力」のヒントとなるようなメルマガを目指します。

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【著者】 渡邊力生 【発行周期】 ほぼ 日刊

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