晩婚化時代における出産のリスクとして真っ先に挙げられるのが「高年齢出産」ですが、事は医学的な問題ばかりではありません。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、晩婚夫婦が子どもを授かった際にのしかかってくる介護面でのリスクについて解説し、政治・行政によるサポートと同時に「個人の備え」の必要性を提唱しています。
遅れてくるモノ
さて、本日はリスクのお話。
日本では、晩婚化と少子化がイッショに進行しています。ま、斯く言う私も十分すぎるくらい晩婚でしたから( ̄∇ ̄)
晩婚の結果、既に生殖適齢期を過ぎていて…あ、ちなみに最近になって卵子だけでなく精子も老化することが解ってきましたね。晩婚化で生殖適齢期を過ぎるのは、女性だけじゃなく(多少タイムラグはあるとしても)男性もなんですね。
閑話休題。晩婚化の結果として、少子化が進んだともいえるわけです。なので、遅くに結婚する場合、「子供は出来ないかもしれない」ということを、双方ともなんとなく理解しているでしょう。
ところが、思いもかけず(?)晩婚の夫婦に子供が授かった場合未来はかなり難しいものになってしまうのです。
たとえば、40くらいで結婚したとき、親が65くらいだったとしましょう。仮に5年後に子供が生まれ、その後子供が小学校に入ったとき
- 自分は51歳
- 子供は6歳(小学校1年)
- 親は76歳
です。これをもう10年先を見てみると
- 自分は61歳
- 子供は16歳(高校1年)
- 親は86歳
です。……なんとなく、呼吸が浅くなってしまう気がしませんか。
これは最近になって言われ始めたことですが、晩婚の最大のリスクは子供が出来ないことではなく、子供が出来た結果
- 子育てと介護の期間が重なってしまう
ということです。このふたつが人生でほぼ同時に起こる場合の大変さは、筆舌に尽くしがたいものがあります。経済的にも体力的にも時間的にも負担が大きいからです。
言うまでもないことですが、子育てにも介護にも
- 非常に近い場所で
- 毎日
- 世話をする
必要があるわけです。子育てを1人だけでこなすのは
- ワンオペ育児
と名付けられ、その不可能ぶりが広く知られています。
が、介護だって同じです。しかも先が見えず、相手は大人でチカラが強い。認知症になっていたりすると、チカラ加減が解らなくなっていたりするため、男性被介護者から非常に強い力で叩かれたり蹴られたりして、介護者側がケガをすることもあるんです。
しかも、介護のために離職せざるをえなくなると、介護者側の経済状態も一気に悪化してしまいかねません。その意味で、育児では生じないような負担が介護ではかかってしまうんです。
ちなみに、この先はもっと…厳しくなるワケです。もう10年先になると
- 自分は71歳
- 子供は26歳
- 親は96歳
です。うーん、そろそろ自分が介護される側になりそうですよね。しかも、子供は社会に出て仕事が面白くなってきたところでしょう(ま、20年後の仕事状況が今と同じとは到底思えませんが)。その子供の双肩に、介護がのしかかり、子供自身の結婚や子育てを圧迫しかねないわけです。
これは、子供が増えることは国全体のためにもいいことですから、晩婚夫婦が子供を望むのはまったく問題がなく、むしろ喜ばしいことです。ですから、子育てと介護の時期がカブってしまうことのリスクは社会的な問題として捉え、政治や行政によって解決されるべき問題だろうと思っています。ですが、個人で備えられることももちろんあるのです。