まさに順風満帆、飛ぶ鳥を落とす勢いとも言われた前澤社長率いるZOZOですが、徐々に陰りが見え始めているようです。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、ゾゾタウンから出品ブランドが退いてゆく、いわゆる「ゾゾ離れ」を実利面と感情面から分析した上で、「ゾゾ離れは限定的とは考えない方がいい」としています。
ゾゾ離れ、前澤社長「業績への影響はほぼない」訳がないワケ
衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」からブランドが次々と退く「ゾゾ離れ」への対策を急いでいたZOZO(ゾゾ)は、ゾゾタウン上での値引き価格の表示方法を出店者が設定できるように改めた。反発を強めていた出店者側に配慮を示した格好だが、これにより「ゾゾ離れ」は収束するのか──。
ゾゾが昨年12月から始めた有料会員向けサービス「ZOZOARIGATO(アリガトー)メンバーシップ」(以下、アリガトー)が波紋を呼ぶことになった。アリガトーを導入してからサイトでは原則、値引きした会員向け価格が表示されるようになったが、値引きによるブランドイメージの低下や自社通販サイトとの競合を懸念する出店者との間で摩擦が起き、出品停止が相次いだ。
アリガトーは年間3000円(税別)または月500円(同)の会員料を払うと、ゾゾタウンで常時10%引きで買い物ができるというもの。なお、値引き分はゾゾが負担するので出店者に経済的負担は生じない。
ゾゾによると、1月31日時点で1255ショップ中、42ショップが出品を停止した状態だという。こうした「ゾゾ離れ」について前澤友作社長は1月31日の決算会見で「業績への影響はほとんどない」と強気の姿勢を示した。
一方で、こうした状況を受けてゾゾは、割引価格を表示しないこともできるよう、
だが、これをもって「ゾゾ離れ」が収束するかは予断を許さない。今回の騒動をきっかけにゾゾタウンから撤退して自社の通販サイトの強化に動く企業が続出する可能性は十分ある。また、すぐには撤退しないとしても、しばらくは様子を伺いながら機を見て撤退する腹を決めた企業がいてもおかしくはない。
カジュアル衣料品のライトオンが撤退したのが興味深い。というのも、撤退や出品停止していたのはオンワードホールディングス(HD)や子ども服ブランド「ミキハウス」などハイブランドが中心だったためだ。こういったハイブランドは安易な値引きがブランドイメージの低下に直結してしまうのでアリガトーを快く思わないのはよく理解できるが、カジュアル衣料品であれば影響はそれほどではなく、ライトオンの場合、アリガトーの10%引きによるブランドイメージの低下は極めて限定的と考えられ、そのことが撤退の直接の理由とは考えにくい。
ライトオンがゾゾタウンから撤退するにあたって、アリガトーの導入は一つのきっかけにすぎなかったのだろう。