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【書評】韓国人が書いた「韓国人が借りたお金を返さない理由」

韓国の諺に「知り合いが泥棒」というものがあるそうです。「親しくしている人にお金を取られることが多い」ことを意味しているそうですが、現在の韓国には「お金を借りた方は貸した方に対して偉そうに振る舞う」という、私たちには到底理解が及ばない現実があるらしく…。そんな韓国について韓国人著者が赤裸々に綴った一冊を、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが詳細にレビューしています。

偏屈BOOK案内:『なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか~韓国人による日韓比較論~』 

なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか~韓国人による日韓比較論~
シンシアリー 著/扶桑社

著者はこの本を書いた時点で、日本に暮らすようになって3年目。再び3年の滞在許可を得て、将来は日本に帰化するようだ。韓国人が書いた韓国論からは、世界でも稀有なヘンテコな国と国民の実態が露わになり、興味津々だが、そこまで国を挙げて暴走してしまっては、収拾がつかないのではないかと心配になる。コワイモノ見たさと、日本の安全保障の観点から、じつに面白く読んだ。

それにしてもストレート過ぎるタイトルである。「韓国人は借りたお金を返さない」は、ほとんどがウリ(私たち)の中で行われる。韓国の諺「知り合いが泥棒」がそれをよく表している。全然知らない人より、親しくしている人にお金をとられることが多い、という意味だ。中華思想では「中華(=中国)」の領域が偉いもので、それ以外は野蛮なものだ。朝鮮は中華の一部だという。

これを「小中華思想」といい、中国に事大しそれ以外をオランケ(野蛮人)だと見下す。それが中国の一部である自分たち=朝鮮の義務であり権利でもあると思っている。「強いものの部下は強い」という中華思想もどきが韓国社会に強い影響力を及ぼしている。韓国社会のウリは自己チューな「中華」である。その中華の中心には「自分」がいる。だから「中華思想ともいえる

韓国人はウリの範囲にいる人に対しては、何が何でも徹底的に関わろうとする。韓国人はこれを「情が溢れる」という意味で「ジョンギョブタ」という。和訳すると「多情多感」「親しい」「優しい」などになるが、著者は「ウザい」あたりがいいという。日本のネット上では「かまってちゃん」と笑われる。その多重の情は決してゴンチャ(タダ)ではない。いずれ必ず対価を要求される

その対価の概念のもっとも一般的な表れ方が「借りたお金を返さない」である。情をすでに払っておいたから、返さないのが公正だというのだ。「書いていて悲しくなることですが、私をはじめ本当に大勢の韓国社会の人々が、この『公正』にやられました」。お金を借りて返さない人の方がずっと偉そうにしている借りたお金を自分の権利だと認識している。初めて聞く変な理屈である。

最近は韓国のマスコミも「韓国人の(何かの問題点)」という記事を書かなくなったが、かつては社会批判記事が結構あって、その中に欠かさず出てきたのが「親しい仲でも借りたお金はちゃんと返すべきだ」であり、セットで「保証人になるな」があった。連帯保証人制度は副作用が多過ぎ、2008年に廃止された。借金の申し込みをされるのは嫌なことだが、問題は返してもらえないことだ。

韓国の諺に「お金は、座ってやり、立ってもらう」がある。座る、立つ、は上下関係である。上の立場の人が座り、下の立場の人は立っていなければならない。お金を貸すときは貸す人が上だが返してもらうときはむしろ貸した方が下になってしまう、という意味だ。相手(貸した人)が下になってもらうという相応の対価が得られないと、返さない、というニュアンスがあるのだ。

わたしがお金を返すだけでは公正ではないお前がであることを示せ」と要求しているわけだ。9回お金を貸してやっても、10回目に貸してやらないと恨まれる。借りたお金はすでに「情」で支払ったから返す必要はない、と考えるのが韓国人で、お金を返せと攻め立てると、ほぼ決まった反応が見られる。

「私は悪くない。今まで『情』によってウリを支えてきた私に、たかがお金でこんな仕打ちは酷すぎる」の類いだという。問題は「返せ」と責めたほうがウリから孤立することだ。なぜお金で騒ぎを起こすのか、ウリが壊れるではないかと言われる。お金を貸した人に対しありがたいと思う人は誰もいない。モラルハザード韓国。嗚呼、日本に生まれて本当に幸せだ。

2018年12月23日、韓国「国民日報」に興味深い記事が掲載された。「韓国社会は、公共の利益や価値、あるいは他の個人や集団への共感も配慮も失い『万人の、万人による闘争』だけが残ってしまったと、専門家たちは指摘する」「韓国人は、人権や平等より『公正』だけを不思議なほど強く求める。それも、実は自分と他人との上下関係を明確に分けるためにすぎない」……大変だね~。

4~5年前から韓国社会では「孝道契約書」なるものが話題だ。親が子に財産を贈与する条件として子の親孝行を契約として強制できるようにしておくことだという。「親孝行」と「契約」は逆の概念ではないのか。単に「親孝行します」「親を扶養します」じゃダメ、そんな生ぬるい書き方では、いざという時、子を告訴できない。具体的内容でないと、契約違反したかどうか判定できない。

「1か月に小遣い(親の生活費)を○万ウォンずつ差し上げます」「同じ家で扶養し最もいい部屋を親が使うようにします」「年○回の旅行費用を出します」など細かく書く必要がある。親と子の間でこんな契約が流行る国は韓国しかない。韓国は定年が早い。その後は「家をやるから親孝行しろ」と、子に頼るしかない。だが、財産だけもらっておいて親を虐待する事例が後を絶たない

だから「契約」を強いるようになった。いざというとき、子を告訴するため。最近の韓国社会では高齢者と若者の間にも嫌悪し合う問題が起きている。韓国人の家族関係は「位階秩序」、日本で言う「ヒエラルキー」の塊である。高齢者は若者を息子、娘としか見ていない、というのだ。だから可愛がる、という意味ではない。高齢者に対してとしての立場になれと要求する。

若者たちが高齢者に席を譲らなかった場合、高齢者から出てくる定番の抗議が、「息子、娘のようなお前たちが座って、親のような私が立っていて、これでいいのか」である。高齢者に席を譲るのはよいことなのはわかるが「席を譲らなかった奴は高齢者から叱られるべきだ」はやめてくれと若者たちはいう。

韓国国会では「親不孝者防止法」なる法律が係留(通過も棄却もされていない)中である。俗に「親不孝者の食い逃げ防止法」と呼ばれている。親の財産を相続した子が、親をちゃんと扶養しない、虐待したりすると財産の相続をキャンセル(財産の権利を親に戻す)できるが、その条件を緩和する法案である。親不孝者が多すぎて、法による制裁を強化しなければならないという議論だった。

「息子は大泥棒、嫁は小泥棒、娘はかわいい泥棒、孫は強盗」というジョークが現実のものになった韓国。親不孝という言葉を人に話すこと自体、もはや気まずい世の中になった。「親孝行は契約でなんとかする問題ではない」としながら、「親不孝を法律で防止する」しかないという素っ頓狂な国家である。

韓国の若い世代の趣味文化は「アイドル」(韓流スターなど)「映画」(映画館で観ることに限られる)「オンラインゲーム」(パソコンとスマホ)だけ、50~60代の趣味は事実上「登山」だけである。趣味を楽しむ文化が育っていないから趣味にお金を使わない。ネット関係では世界一のインフラを持つと自慢している。だが、Amazonがない。その市場にお金が回っていないからだ。

韓国人は「お金」の問題に対しては、もはや解決を諦めているようにも見える。韓国の若者たちの不満は「なんで私は稼げないのか」ではなく、「なんで私は大金持ちの子に生まれなかったのか」なのだ。そして「お金は大好き、大金持ちは大嫌い」だ。韓国社会は本物の不幸に落ちているようだ。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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