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どのような「衰退国」にすべきかを議論するしかない令和ニッポン

少子高齢化対策も後手後手にまわり、決定的な経済対策も打たれぬまま徐々に国力を失いつつある日本。「令和」時代を前にして、このまま座して貧困国に転落するのを待つしかないのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、「日本の魅力は日本人が持つ規律」であるとし、今こそこの国の教育現場から姿を消しつつある「論語」を取り戻すことが、我が国が生き残る道につながると記しています。

日本の準備:関係人口増加策

NY株も日経平均の膠着相場が継続している。景気後退まで時間がある。今、日本は準備しておく必要がある。それを検討しよう。

日米株価

NYダウは、2019年2月25日26,241ドルで、3月11日25,208ドルと下落したが、その後3月19日26,109ドルになり、3月29日25,928ドルになっている。上下に動いているが、下落方向ではない

日経平均株価も、同様に2019年3月4日21,860円、3月11日20,987円となり、3月22日21,627円で3月25日20,911円、3月29日21,205円と上下に動いているが、下落方向でもない

当分続いた膠着相場から下方向に相場が向かうとは思うが、まだ下落しない。FRBの予想値が今年一回の利下げを想定したことで、逆イールドが起きても利下げで解消すると、市場は株価を下げない。FRBは、利下げを言っていないが市場が勝手に予想しているし、それを逆イールドで催促しているともいえる。

それと実体経済の悪化が、米国ではまだ顕著ではなく景気減速懸念が高まらない。このため、世界的な景気悪化懸念での安全通貨の円買いにもなっていない。このため、円高にもならない。一時109円台に乗せたが、110円台に戻している。

しかし、景気減速の指標が出ると、それには反応して下落するが、下落すると買い場ということで、買戻しが優勢になり株価上昇で、落ちない。NY株は10年上昇してきたことで強気の人が多いことで、そのようになる。

そして、逆イールドになってから1年後に景気後退になると言われるし、半年程度前に株価は落ちるというので、まだ半年程度の余裕があることになる。その上、ヘッジファンドのブリッジウォーター創業者のレイ・ダリオ氏もFRBが利上げを見送ったことで、1年程度、暴落は薄らいだと言っているが、どうも米国の強気相場を見ていると正しいような感じになってきている。

東京市場も海外投資家が取引の7割を占めているので、NY株式市場の動向を反映しているだけである。

基本的には企業業績の悪化が見えないので、株価は下がらないようである。第一四半期業績発表が出て、そこで下方修正が出た時に株価は下落すると見る。米企業の決算報告は4月末から5月に掛けて行われるが、その時期、日本市場は10連休ということで身動きが取れない状態になる。大きく動く可能性も高く、どうなるか見物である。

今後当分、統計数字で景気後退を示すと株価が大きく下げ、その後買戻しという展開が続き、徐々に下値を切り下げていくことになると見る。ショックが起きると大きく下げるが、そのようなショックがないとだらだら下げていくようだ。

米国の内政・外交

トランプ大統領のロシア疑惑は証明できずに、これで弾劾裁判はなくなった。非常事態宣言の無効化を議会は2/3以上で可決できずに、非常事態宣言は有効となった。このため、軍は壁建設として、10億ドルを支出することを決めた。内政はトランプ大統領の勝利である。

3月最終週に北京で米中通商協議が行われているが、今掛けている関税の部分的な撤回を最低でもしないと、中国は米国の要求する構造改革の一部も実行しないようである。このため、協議の進展はあるが、合意には達しないようである。ライトハイザー通商代表は、中国が折れるまで交渉を継続するという。

このため、協議の延期を行うとクドローNEC議長は言っている。そう簡単に合意でるはずがない。米国の一部要求を取り下げるか検証をしないかでもしないと、米中合意は無理である。しかし、市場は米中通商交渉が順調だと株価は上昇している。強気相場なので、すべて株価にとって良い方向に解釈している。

しかし、合意できないと見たのか、クドローNEC議長は株価維持のためにFRBに0.5%の利下げを要求している。しかし、FRBは景気後退の統計数字が出ないと利下げはできない。

中国が米国の要求を実現しないことと、中国が、南シナ海支配を益々強固にしてきたことで、米国は南シナ海周辺に1万人規模の軍隊を置き、南シナ海での対決姿勢を明確にするという。米中対決が南シナ海で起きる可能性も出てきた。

対する中国も、台湾武力統一に向けて、軍事費を増額して、台湾と同時に尖閣諸島も奪取する計画を立てているようである。

これに対して、米国は台湾への武器売却を積極的に行い始めた。というように、経済的な対決と同時に軍事的な対決も視野に入れて、交渉しているという状況である。

トランプ流取引外交は、持てるカードをすべて使い、行うもののようであるが、恐ろしい事態になる可能性も出ている。

もう1つの米朝非核交渉では、トランプ大統領は金正恩委員長に、直接、文書で核ミサイルをすべて渡せと要求したという。このため、交渉は決裂して、金委員長は再度のミサイル発射をする可能性も出ている。そして、金委員長の報道官と揶揄される韓国の文大統領が4月12日に訪米することになったようだ。こちらも非核化ができるかどうかの分岐点になってきた。トランプ大統領は、非核化しないなら核のフットボールを使うと述べている。核のカードを使うことにしたようだ。

同時にトランプ大統領は、北朝鮮反体制派「自由朝鮮」とCIAが組んで、金王朝崩壊を行う方向であり、全面対決の姿勢に変化した。

ということで、こちらも東アジアで再度核攻撃が起きる可能性が出ている。トランプのハチャメチャ外交は、ヒットラーの外交を思い出すが、両者は秩序破壊者であり、性格も同様であるような気がする。世界を破滅に追い込んでいく可能性も否定できない。

英国の合意なきEU離脱

英国議会は、3度目の合意ありEU離脱協定案を否決した。これで合意なき離脱への可能性が一番高くなったようである。4月12日までには、EU離脱撤回案、国民投票案に多数の支持が行くこともないようである。覚悟が必要になってきた。

英国経済の大幅な縮小になり、EU経済も減速することになる。世界景気後退の可能性が増すことになる。ボンドの下落も起きてくる。英国の衰退も止めることができなくなる。米英経済統合に進む可能性も出てくる。米英日の連携も出てくる可能性がある。

ベネズエラにロシア軍が介入

ロシアは、ベネズエラのマドゥーロ大統領を支援するためにロシア軍100人を大統領警護のために送り込んだ。このロシアの支援で、マドゥーロ大統領は、米国の反対を押し切る強硬策を打ち、グアイド国会議長に、今後15年間大統領をはじめ公職に就くことを禁じた。今後もマドゥーロ大統領は、ロシアの支援の元、強硬策を取るようである。

これに対して、米国はロシアに手を引けと言っているが、米ロ対決が南米まで押し寄せたことになる。

ロシアの狙いは、ベネズエラ原油開発をロシアが行い、権益を手に入れることである。中東の主導権を握り、次は南米ということであろう。ロシアの対米攻撃が続く

ゴラン高原の帰属

ロシアに対抗するかのように、ゴラン高原をイスラエル領土であるとトランプ大統領は承認した。しかし、戦後不法占拠された土地は多数あり、北方領土や竹島もその内に入るが、戦後長く占拠した領土は、取った国の物になるとしたら、竹島も北方領土も韓国やロシアの領土になる。

米国のこの承認は、国連では否決されたが、米国が国際正義を執行する国としての資格を失ったことになる。トランプ大統領は国際主義を捨てたいので理にかなっているが、この承認は、サウジなど米国の味方の国でも反対しているし、イスラエルへの反感を掻き立てている。

益々、イスラエルが孤立化しているような気がする。

ロシアは、トルコへのS400防空ミサイルシステム輸出で味方につけ、トルコカタールイランの枢軸を作り、イスラエルへの圧力を増している。そして、ガザのイスラム過激派ハマスがイスラエルとの紛争を再度起こしている。

イランは、ハマスを支援しているので、いつかイスラエルとの戦争になるのではないかと心配している。

このように、世界的な経済苦境になると戦争になりそうな雰囲気が世界的に漂い始めている。経済的苦境にならないように、米国は強気相場と利上げ停止を行っているとも見える。

日本の準備

衰退国日本は、人口減少への政策対応も遅れ、移民政策も釈然とせず、新しい産業も育成せず、漫然と時が過ぎていく。量的緩和という金融政策だけしか行わないことで、衰退国への道を走っている

世界的な景気後退になった時点で、日本の経済的な落ち込みは、量的緩和の影響で他国より大きくなる。本来は景気が良い時期に量的緩和を縮小して景気後退に備えるべきが、それをしなかったことで一気にその咎めが出る。

今の時点では、政策的な議論をしても手遅れであり、どのような衰退国にするべきなのかを議論していく必要になってきたように感じる。この衰退国の将来と同様な衰退が現時点で、中山間部の村に起こっているし、地方の小都市でも起っている。

地方の問題解決は日本の将来の問題解決の参考になると見ている。

人口減少には、関係人口を増やす取り組みが必要であり、村に定住ではなく、遊びに来たり、別荘として使ったりして、その地域と関係を持つ人達を増やす必要がある。この人達に村で消費してもらい、その消費で雇用を作り定住者を増やす必要がある。

円が安くなり、海外旅行は高いものになり、若者を中心に日本を見直し、都市と田舎の二重生活をする人達が増えている。田舎の物件が人口減少で空き家が多く、低額で貸し出していることにもよる。

この若者を取り込むために、村の魅力作りが起きている。しかし、地域、地域で違う必要がある。オンリーワンの魅力を作ることである。アートの小豆島や温泉の草津であったり、雪国の越後湯沢であったり、スキーのニセコや白馬であったり、演劇の城崎であったり、各地でいろいろな取り組みが行われている。そうすると、海外からの客も多くなる

これと同じように日本も世界に向けて、魅力を高めていくことであり、日本の魅力は日本人が持つ規律であると見る。この規律は江戸時代の寺子屋で教えた論語が今も影響しているからであるが、徐々に廃れ始めている。

この論語を再び日本の教育は取り戻さないと日本の魅力が失われるように感じる。

努力を惜しまない仕事の感覚は、武道からきた石門心学から出ている。繰り返しの仕事は修行であるという感覚が日本人にはあり、その感覚で仕事をするから、仕事が苦しくないのである。これも廃れ始めている。

この修行的な感覚から農業で、おいしい果実や野菜が生まれるのであるが、この感覚がなくなり、日本は農薬の使用量が世界一になっている。

日本の生きる道は、観光業と農業や技術開発研究開発になる。その精神的な基礎である論語教育を取り戻すことが必要になっている。

日本の魅力度を上げるためにも、明治時代に戻るのではなく、江戸時代に戻ることが必要になっている。江戸時代の日本人の精神を取り戻すことがある。

さあ、どうなりますか?

image by: Shutterstock.com

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国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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