企業にとって必要不可欠な「差別化」のために重要なのは、「他社がやらないことを試みている」ということ。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、時として売上より修理代がかかることがあるにもかかわらず、レトロゲームを可動させ続けるゲームセンターの戦術・戦略を分析しています。
他社がやらないこと(やろうと思わないこと)を行う判断
根強い人気を誇る「ゲームセンター」を分析します。
● レトロゲーセン ザリガニ(ゲームセンター)
戦略ショートストーリー
レトロなゲームが好きな方をターゲットに「レトロゲームのメンテナンス力」に支えられた「珍しいゲーム、懐かしいゲームで遊べる」等の強みで差別化しています。
名作中の名作や幻の名作、神ゲーと呼ばれる他では見られない希少なゲームをラインナップし稼働させることで、幅広い層から支持されています。
■分析のポイント
希少性は、差別化するうえでの一つのセオリーといえますが、「レトロゲーセン ザリガニ」は、名作ゲームをシリーズで揃えるなど、複数の希少性を組み合わせることでより一層、希少性を高めています。
希少性を高めることで、ここでしか体験できない価値(人によっては夢のような空間)を提供することにつながっています。
そして、レトロなゲームをラインナップするうえで重要となるのが、ゲームを稼働させるためのメンテナンスです。
レトロなゲームを集めるもの大変ですがリリースから30年以上経っているゲームを稼働させることの方が難しいと思われます。
「レトロゲーセン ザリガニ」の公式Twitterでの投稿によると、時には、売上より修理代の方が高いこともあるようです。
この部分が今号のポイントとなります。
売上より修理代の方が高かったら、やらない(稼働させない)という判断をするのが、ビジネスでは当たり前でしょう。
ですが、「レトロゲーセン ザリガニ」の場合、売上より修理代が高くても稼働させようとしています。
このことが何を意味しているかというと、他社がやらないこと(やろうと思わないこと)をやっているということです。
だからこそ、差別化ができているわけですね。
こういったひとつひとつの判断から、企業の方向性を伺うことができますが、珍しいゲームを末永く遊んでもらおうとしている「レトロゲーセン ザリガニ」の姿勢が表れています。
今後、「レトロゲーセン ザリガニ」がどのような存在になっていくのか、注目していきたいです。