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どんなに強くても殺される。サバイバルゲームで判った戦争の怖さ

サバイバルゲームで得られるもの、それはただ「遊びとしての楽しさ」だけではないようです。今回の無料メルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が、自らのサバイバルゲーム体験を通じ、「自分だけは例外」と考えがちなコントロール幻想を解説するとともに、「平和の尊さをかみしめよう」と記しています。

サバイバルゲームで平和の大切さを知った話

こんにちは。ゆうきゆうです。

最近、サバイバルゲームというものに行ってきました。生まれてはじめてです。最近、リアル脱出ゲーム(謎解きゲーム)など、色々な遊びにチャレンジしておりまして、その一環です。友人の方に誘っていただいたので、試しに行ってみました。

そもそも現在、かなりの高頻度で「リアル脱出ゲームリアル謎解きゲーム)」に行っています。この3ヶ月くらいで、50近くの公演に行きました。これ、まったく予想すらしていませんでした。今までは「いい大人が何をしてるんだろう」と思っていましたが、やってみたら、いや、ものすごく面白い。たちまちハマってしまいました。

そのため、サバイバルゲームも、ハマるほど面白いんじゃないだろうか。そんな風に思っていました。そのときの僕の心は幻想に支配されていたと言っても過言ではありません。

サバイバルゲームの禁断のルール

さてとにかく、プレイしてみました。ルールはシンプルで、それぞれ、体から顔まで、完全防備です。特に顔には厳重な仮面をつけます。目には透明なガラスがついており、視界を保ちながら、顔への被弾を完全に防御する構造になっていました。この状態で、それぞれがエアガンを持ち小さな弾を撃ち合います

当たったかどうかの判定は、本人の感覚のみ。当たったと思ったら「ヒット!」と叫んで退場します。当たった場所は、全身どこでも同じです。頭だろうが足だろうが指先だろうが、体に当たったらヒットであり退場となります。そこから先の勝敗は色々なルールがあり、

などなど…。とはいえ重要なのはたった一つで「敵の弾に当たらないようにして敵に弾を当てることができれば勝ちに近づくわけです。とてもシンプルです。

ある意味、サッカーやバスケットボールは、「敵の弾をゴールさせないようにして、敵のゴールに弾を入れる」というゲームですから、そう考えるとそれらに近いかもしれません。

最初に聞いたときは、「あぁ、楽しそうだな」と思いました。しかし実際にプレイしてみると、それとは違う、衝撃の事実に気づいたのです。

何をやっても、当たる弾

ゲームが開始しました。とにかく「自分が撃たれないようにして、相手を撃つ」ように頑張りました。しかしこれ、結構難しいのです。どんなに気をつけてもほぼ必ず撃たれます

たとえば建物の影に隠れて、ときどき顔と肩を出して、銃で狙いをつけて相手を撃って、また戻る…ということを繰り返したりするのですが…。しかしどんなに頑張ってこれをやっても、やっぱり、相手の弾に当たります。

それなら銃だけを出して撃てばいいのでは?」と思うかもしれません。自分もそう思いました。でもそれ、「ブラインド・ファイア見ない発射)」と言ってルール違反なんだそうです。まぁ確かにそれを許したら、お互いにカベから銃だけ出してエンドレスに撃ち合うというシュールな光景が続くだけで、いつまでも勝負がつかないからかもしれません。

何にせよ必然、顔と肩を出し、そしてどんなに気をつけても、しばらくすると弾が当たります。たとえ、たまたま相手を倒しても、また次の相手が来るわけで、この確率ゲームを繰り返していると、いつかは自分に弾が当たって負けます

この弾、体幹部に当たることもあれば、手や指に当たることもあります。しかし先ほど話したように、どこに当たっても、等しく「負け」です。もしこれが現実だとしたら…

それこそ頭や体の中心部なら即死ですしたとえだとしても結構ハードです。自分自身、こうして原稿を打つのが仕事でもあるので、指がなくなったらもう致命的です。恐ろしすぎです。ある意味、作家としての死かもしれません。

もちろん「あぁ自分は作家でないから指取れても大丈夫だったぁ」なんて人、いないと思います。どんな人でも日常生活に与える影響は極大ではないかと思います。

すなわち戦争に出るかぎり、そしてほぼ同レベルの相手同士で銃で撃ち合うかぎり、どんなに気をつけてもキズを負い、ものすごくハードな後遺症を残す可能性がありえるということです。いえそれ以上に、死ぬ確率も十分にあるというわけです。

どんなに強くても、殺される

しかしここで「死んだりケガしたりするのは、実力がないからでは?実力さえ高ければ大丈夫なのでは?」という反論が出るかもしれません。

自分もそう思っていました。しかしそのサバイバルゲーム当日。

プレイヤーの中に、すごく体格の大きないかにも体育会系、という方がいました。この方、サバイバルゲームの経験も多く、同時にアピールもとても多い方でした。

「今のゲーム、○○だったよー」
「相手チームが△△だったからなぁ」
「オレが◇◇してやったのに、☆☆するんだぜ、あいつら」

などなど。一つ一つの試合後に、いかに自分が優れたプレイをしたかを全力でトークされる方でした。これ、戦争で言うなら、「ものすごく強い軍人」なんだと思います。これだけの実力なら、絶対に死なないのではないだろうか。僕はそう思って見ていました。

しかし。彼の発言がピークに達した次のゲーム。彼は数名の敵プレイヤーに囲まれて殺されていました。狙い打ちでした。ボコボコでした。どうしてそこまで狙われたのかは、分からないような、うすうす分かったような気がしました。

何にせよ、あれだけレベルが高い方でも、さすがに数人に囲まれると、そりゃ死ぬんだな、と思いました。いかに強くても、十人力、百人力はムリだったようです。結局、どれだけ個人が「強い」としても限度があり、結局、誰もがほぼ同じ確率で「死」を背負ってるんだな、ということを悟ったのです。

自分は大丈夫という幻想

これは銃で戦うサバイバルゲームですが、それこそ日本の戦国時代など、刀や弓矢で戦う戦争であっても、同じではないかと思いました。もう戦ってるかぎり、どんどん死んでいく。少なくとも自分がその場にいたら、どんなに頑張っても、ほぼ絶対に死ぬか致命傷を負う

もちろん戦争において、兵士たちは少しでも生存確率を上げるため、「訓練を受けるかもしれません。しかしそれは敵側も同じ。お互いが訓練するかぎり、やはり「同レベルのバランス」は崩れないわけで、結果的に半々の確率でどちらかが負傷や死亡しつづけるわけです。

あまりに当たり前の事実ですが、このサバイバルゲームを通じて実体験することで、あらためてその恐ろしさに気づいたのです。

実際に心理学では「コントロール幻想」というものが存在します。これはまさに「何があっても自分だけは運命をコントロールできるだろう」という幻想のこと。妄想と言い換えてもいいかもしれません。

たとえばジャンボ宝くじで1等が当たる確率は、1,000万分の1くらいですが、すべての人が「いやそれでも自分は当たるかもしれない」と思っているからこそ、買うわけです。もちろん幻想です。

これは戦争も同じ。「自分だけは生き残れるんじゃないか?」「自分だけは大丈夫なのでは?」そんな風に思うからこそ、みんな戦地に行き…。そしてそれが幻想だと分かったときは、死ぬときです。恐ろしい。

そんな当然のことを、サバイバルゲームを通じて感じ、「あぁ戦争のない現代の世界って本当に素晴らしい」とあらためて痛感しました。

日本の戦争は1945年に終結しましたが、そこからたった70年ほどの、わずかな平和なタイミングにちょうど生まれて良かったと心から思いました。

戦争ゲームに行き平和のありがたみを知るという逆転現象でした。

■今回のまとめ

というわけで、サバイバルゲーム。あなたも興味があれば、遊びにいってもいいかもしれません。そして平和の喜びをかみしめていただければ幸いです。

ちなみに自分は、女性プレイヤーの方に銃で撃たれたときだけは快感でした。これはこれで楽しみ方がおかしいと感じつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 大和まや・ゆうきゆう 【発行周期】 週に1度、宝石が届きます。

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