自民党の議席減を鈍らせる、国民民主党内の「小沢一郎アレルギー」

 

共産党との調整を残すだけになっている選挙区も多い。

秋田では立憲、国民、社民が寺田学衆院議員の妻、静氏を擁立することを決めた。福島は、国民民主党の県議、水野さち子氏を国民、立憲、社民が統一候補として擁立する。

三重では、国民と立憲が、地域政党「三重民主連合」の擁立する県議、芳野正英氏の推薦を決めている。岐阜も、立憲の候補を国民が支援する方向だ。

今夏の参院選では、共産党の姿勢が一つのポイントになっている。

共産党がほとんどの1人区で擁立を撤回した16年と違い「相互支援・相互推薦をし、一定の選挙区では共産の候補を立てるべきだ」(小池晃書記局長)と一本化のハードルを上げているのだ。

同党のホームページには、32の1人区のうち24選挙区で独自の立候補予定者が紹介されている。

もう一つのポイントは小沢一郎氏自由党の動きだ。国民民主党との合流話は壁にぶち当たっている。

玉木代表は低支持率にあえぐ党の存亡をかけて、豊富な資金と地方組織を生かせる戦略家、小沢氏の力を借りたいのだが、党内には民主党政権以来の小沢アレルギーがくすぶっている。

それが参院選の候補者擁立で表面化した。小沢氏の地元、岩手県選挙区。自由党が主導し共産、社民の賛同をとりつけて元パラリンピック選手、横沢高徳氏を統一候補として擁立しようとしたが、当の国民民主党から待ったがかかった

国民民主党における反小沢の急先鋒階猛衆院議員が県連の推す黄川田徹元衆院議員の擁立を強く求めたため、玉木代表は候補の白紙化を含めた再協議を小沢氏に要請した。小沢氏は再協議を受け入れたが、共産社民は難色を示している。

小沢氏のねらいは、保守中道リベラルの野党連合が共産党と選挙協力することによって、安倍政権批判票の大きなうねりを呼び込むことにある。

立憲民主党が国民民主党と一定の距離を保ちたい理由もわかる。両党には共産党との連携に反対するグループがいるのもわかる。しかし、さまざまな垣根を超えて、小沢氏の言う「オリーブの木」のような、ゆるやかな野党連合体をつくり、自公に対抗すれば、明確な対立軸を有権者に示すことができる。

一気に、参院選でそのような形をつくるのは難しいかもしれないが、少しずつ前進しなければ、弱体野党が傲慢与党をますますのさばらせてしまう

その意味で、21日に投開票が行われる二つの衆議院補選を、野党共闘の試金石として注目したい。沖縄3区と大阪12区の補選だ。

昨年の県知事選と同じ「オール沖縄」vs自公維新の構図になる沖縄3区は野党優勢が伝えられている。

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