日本企業が既得権を断ち切らないと日本経済は終了する当然の理由

 

さて、ここからが本論です。

2019年の現在、財界はようやく終身雇用を止めると言い始めました。その結果として、能力主義とジョブ型雇用というアジアでも欧米でも当たり前の雇用制度が導入される可能性が出てきました。改革の方向性としては正しいと思います。

ですが、今回の改革でも同じように「既得権は否定しない」ということになれば、例えば現在「総合職」つまり「ジョブの専門性を固定しないで、ブラックな丁稚奉公に耐え、家族にも苦痛を与える転勤にも耐えて」年数だけを積めば「管職にも役員にもなれる」という契約で入ってくる人間の「既得権は今後30年間守られることになります。

それだけでなく、その「生え抜き社員」という「過去の経験でしか判断できない」グループが企業を率いていくことが、向こう30年続くことになります。

改革に更に30年もかかっていては、それこそ各企業も日本経済も終了ということになりかねません。

そうならないためには、既得権を切るという「痛み」に耐えなくてはなりません。「令和おめでとう」などと言っている経団連などの「お偉方」は、そのことを分かっているのでしょうか?

image by: MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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