現在の習近平国家主席は2009年に副主席として訪日、このときも民主党政権ですが、強引に天皇との会見をセッティングしたことで、国民の批判が集まりました。一方、習近平は天皇と会見したことを中国内外に示すことで、自分が次の中国のリーダーだということをアピールしたのです。ここでもまた中国は天皇を利用したわけです。
しかし、あまりに増長した中国は、太平洋を二分して世界をアメリカと分け合おうなどと提案したり、さらには中華経済圏である「一帯一路」をぶち上げ、トランプ大統領の誕生で保護主義に傾いたアメリカに代わって世界経済を牛耳ろうとするなど、その覇権主義をあからさまに誇示するようになり、そのことによってアメリカとの貿易戦争を招いてしまいました。
経済成長も、2019年の成長率目標は6~6.5%と、かつてほどの勢いはなく、実際にはすでにマイナス成長に陥っているとも言われています。今年3月の全人代では、習近平からは、いつものように威勢のいい発言がありませんでした。
こうして平成の31年間の中国を振り返ってみると、天安門事件で低迷した後に急成長を遂げ、いまピークを過ぎて斜陽の時代を迎えようとしていることがわかります。
60年周期で景気が循環しているという「コンドラチェフの波」という説があります。これは最初の30年で景気の谷から景気の山へと向かい、ピークをすぎると次の30年で景気の谷へと落ちていくというものです。
そう考えると、中国は天安門事件という底から30年をかけてピークを迎えたものの、ちょうどそのときに米中貿易戦争が勃発、これからの30年は没落の時代を迎えることになるわけです。
一方、日本は1992年ごろのバブル崩壊から間もなく30年を迎えます。「失われた20年」と言われたどん底期から回復しつつあり、来年はオリンピックも開催されます。日本はむしろ、景気の底から景気の山へと向かっているのです。
「コンドラチェフの波」に照らし合わせれば、令和の時代は、日本の黄金期と中国の没落という、これまでの逆転現象が起こることになります。この没落する中国といかに対峙すべきかが、令和の時代の日本の課題となっていくでしょう。