9日に香港で行われた、刑事事件容疑者の中国への移送が可能となる「逃亡犯条例」の改正に反対する市民らによる、大規模なデモ。主催者発表では100万人を超える人々が参加したというこのデモに、中国当局はどのような対応を取るのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、「弾圧も譲歩もしがたい状況」と読みます。北野さんはなぜそう判断するのでしょうか。
香港で100万人デモ!
香港で100万人規模のデモが起きました(主催者側発表ですが)。
香港で「103万人」デモ 容疑者移送条例に反対
6/9(日)18:35配信
【香港共同】香港の民主派団体は9日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模デモを行った。主催者発表で103万人が参加。香港に高度の自治を約束した「一国二制度」崩壊への懸念から、1997年の中国への返還以降、最大規模のデモとなった。警察はピーク時に24万人が参加したと発表した。
主催者発表で103万人。警察発表で24万人。実数は誰にもわからないでしょうが、「メチャ多い」とはいえますね。
このデモでは林鄭月娥・行政長官の辞任を求める声も多く見られた(動画)
Hundreds of thousands of people take to Hong Kong’s streets in protest of proposed extradition law https://t.co/JvBZBeKPQ8 pic.twitter.com/hyHOapiyGE
— Reuters Top News (@Reuters) 2019年6月9日
香港百萬人上街反送中。Protest in Hong Kong against China Extradition Bill. Organizer says over 1 million people participated. pic.twitter.com/hU2VPkC8Kj
— Jennifer Zeng 曾錚 (@jenniferatntd) 2019年6月9日
デモの理由は?
香港で9日、刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正に反対する大規模なデモがあった。
(毎日新聞 6月9日)
逃亡犯条例改正案について、香港市民の間には「冤罪(えんざい)で拘束され、中国本土で公平ではない裁判にかけられる」との懸念が強まっている。
(同上)
「冤罪で拘束され、中国本土で公平でない裁判にかけられる」
それは、そうでしょう。「反習近平発言をした」というだけで、捕まる可能性がありますね。
対応に困るであろう中国政府
中国政府は、このデモへの対応に困ることでしょう。皆さんご存知のように、6月4日は「天安門事件30周年」でした。それで、中国の人権状況に関心が集まっている。ここでデモを弾圧すれば、「中国は今も昔も変わっていない!!!」ということで、国際社会で孤立します。
米中覇権戦争が2018年にはじまった。ロシアは、はっきりと中国側につく意志を示しています。問題は欧州の動向ですね。
現状アメリカと欧州は、「NATO問題」「イラン核問題」「エルサレム地位問題」「ロシアードイツガスパイプライン問題」などで、ことごとく対立しています。それで、欧州は、アメリカと中国の間で揺れている。しかし、もし中国政府が香港デモを弾圧すれば、欧州はアメリカ側につかざるを得なくなるでしょう。
では、中国政府が譲歩して、「逃亡犯条例改正案」をひっこめさせたらどうでしょうか?そうすると、デモをしている人は、今後ますます要求を拡大していくことでしょう。「中国政府が譲歩した」となれば、中国本土でもデモが活発になっていくかもしれません。
というわけで、中国政府は、デモ弾圧も譲歩もしがたい状況。これからの動きを注目していきましょう。
30年前、天安門のデモは、大虐殺で終わりました。中国は、まだ成長期の前期にあり、体制は揺るがなかった。しかし今、中国は建国70年を迎え、成長期から成熟期に移り変わる時期になっています。それで、30年前とは違い、今起こるデモは、政権に大打撃を与えることも可能なのです。
皆さん、いま香港で起こっているデモについてあまりご興味ないようなので、一応説明しておくけど
・今回の改正案が通れば、香港の一国二制度が完全にアウト
・並行して中台関係がヤバイ上に台独の傾向が強まる…武力併合の可能性高まる
わけで、日本にこの影響がないわけがない…という状況であります https://t.co/ZYYLAcBCqQ— 黒色中国(感恩推特開始十周年) (@bci_) 2019年6月9日
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