米でも中でも日本でさえない。G20で真の鍵を握っていた人物

 

軍事的な側面ではアメリカにプレッシャーをかけ、移民問題ではヨーロッパ諸国、特にドイツに対してプレッシャーをかけています。

アメリカについては、トランプ大統領がシリアからのアメリカ軍の撤退を匂わせることで、そのプレッシャーを逸らす動きを取っていますが、欧州にとっては、各国で高まる移民の流入の阻止に対するプレッシャーに対峙するためにはトルコが、流入の防波堤として作用してくれる必要があるとの認識から、トルコに対して強く出ることが出来ておらず、どうしてもトルコに対して弱腰になっているように思われます。

そして、トルコをG20のkey playerにさせているのが、サウジアラビアが抱える『カショギ問題』におけるトルコの位置付けです。 イスタンブールの駐トルコサウジアラビア王国領事館でカショギ氏が殺害されたことは報じられている通りですが、その際のやり取りや、ムハンマド皇太子の“直接的な”関与を決定づけるであろう情報をトルコの情報部が握っているとされています。

先日も国連の特別報告者が『本件に対するサウジアラビア王室の関与があったことを確信する』旨の報告を行っていますが、その裏にはトルコ政府からのプレッシャーや情報提供があったようです。

大阪でのG20を前に、中東地域でのリーダーの地位をアメリカなどのバックアップで狙うサウジアラビアにくぎを刺すことで、トルコのリーダーとしての地位を守りに行っていると見受けられます。

ここまで見るとトルコは、今回、G20サミットで話し合われる予定の議題において多くのstakeを持つように思われますが、同時にアメリカからの経済制裁のプレッシャーを抱え、トルコリラの対ドル・対ユーロレートの下落や、トルコ経済のスランプといった悩みを抱えてもいます。

しかし、直接的に関与はしていませんが、先日のホルムズ海峡でのタンカー襲撃事件に関する情報をどうもトルコは握っているようで、イランを名指しで批判する米英も、関与が疑われるサウジアラビア他も、トルコに対して強く出ることはしていません。

意外なことにG20の場でトルコがサミットの成否を握っているように見えますが、ここでトルコに対して影響力を発揮できる唯一の国がG20の議長国日本です。 安全保障面では直接的な影響力はありませんが、安倍総理がもつアメリカ・トランプ大統領およびロシア・プーチン大統領との個人的なつながりはもちろん、サウジアラビアをはじめとする中東諸国との間に築き上げられている日本に対する信頼、そしてトルコとの間に築き上げられている確固とした友好国としての関係と経済的なパートナーシップは、エルドアン大統領に対する大きな影響力として作用します。

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