耳に残るテーマソングにおもちゃ箱をひっくり返したような陳列。所狭しと並べられた商品の幅は広く、「ここに来さえすれば何でも揃う」と思わせてくれる…。圧倒的な人気を誇る「ドン・キホーテ」ですが、その全国各地の店舗に今、外国人が押し寄せているといいます。いったいなぜなのでしょうか。無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で人気コンサルタントの佐藤きよあきさんが分析しています。
なぜ、外国人は「ドン・キホーテ」に魅了されるのか?
全国各地の「ドン・キホーテ」に、外国人が押し寄せています。大都会はもとより、観光地、地方の店舗にまで、アジアを中心とした外国人の姿が見られます。「ドン・キホーテ」のどこに魅力を感じているのでしょうか。
日本人である私もその楽しさに惹かれ、たびたび訪れてはいますが。何といっても、店内で商品を見ることが楽しいのです。笑える商品、驚く商品、感心する商品……。変わったもの、面白いものばかりで、ついつい長居をしてしまいます。外国人も私と同じ感動を味わっているのでしょうか?
さまざまなメディアで、「ドン・キホーテ」を利用する外国人の感想が伝えられています。それを見ると、日本人よりもっと大きく感動し、狂喜しているとさえ思えます。
まず口から出てくる言葉は、「クールなものがいっぱい」。つまり、“イケてる”“カッコいい”商品がたくさん並んでいる、ということです。外国人の彼らにとっては、日本製品の質の良さは当然として、売り場に並んでいる商品のアイデアやデザインすべてが、“クール”なのです。そんな商品が所狭しと並ぶ中から、自分の欲しいものを探し出すことを楽しんでいるのです。
「ドン・キホーテ」は、探し出す楽しさを演出するために、敢えて“ぐちゃぐちゃ感”のある煩雑な陳列をしています。欧米にはない、アジアンチックな売り場を作っているのです。そこには、「美容・健康」「雑貨」「家電」「ファッション」「ブランド品」「インテリア・家具」「スポーツ・アウトドア」「ペット」「車・自転車」「玩具」「食品」「コスプレ衣装」まで揃っています。「ドンキに行けば、何でもある」という情報が、外国人の間に流れているくらいです。すなわち、外国人が集まって来るのは、口コミが広がっているからだと言うことができます。
しかし、この口コミは自然発生的なものではありません。「ドン・キホーテ」が自らの意思で、企てたものなのです。海外からの観光客が増えることを見越し、店舗を「外国人対応」に変えていったのです。
- 店内には、外国語表記を掲げる
- アジア人スタッフを増員する
- 外国人を呼ぶための専門プロジェクトチームを作る
- 外国人向けの情報発信をする
- 観光地と連携して、ツアーを組む
- DUTY FREE SHOPの認可を受ける
- 中国の企業連合が運営する
- オンライン決済システムを導入する
こうしたきめ細かな対応策を講じた結果が、いまの賑わいに繋がっているのです。すべてが巧妙に仕組まれた戦略だったのです。
しかし、外国人がその“ワナ”に引っ掛かった、というわけではありません。根本的には、お店が楽しいからです。「あそこへ行けば、何かある」という期待感です。知らなかった日本の文化に触れることができるのです。クール・ジャパンがたくさんあるのです。そんな感動を味わうために、集まって来るのです。
私も海外に行くと、地元の市場やスーパーマーケットに必ず行くことにしています。その土地の文化を知るには、もっとも適していると思うからです。それと同じで、外国人が日本の文化を知るためには、「ドン・キホーテ」のような“雑多な”お店が最適なのです。
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