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新戦略の陰に敏腕マーケターあり。丸亀製麺に学ぶ生き残り戦術

「ここのうどんは、生きている」「すべての店で、粉から作る」…新しいことを始めたわけではなく、あまり知られていなかった自社の強みを打ち出した丸亀製麺の戦略の陰には、USJをV字回復させた敏腕マーケターの存在があったようです。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが、外食産業で広がっている消費財出身マーケターとの協業について、その実態と狙いに迫ります。

外食産業がこぞってマーケターを雇う理由

ここのところ話題になっている元USJの森岡氏と丸亀製麺のトリドールとの協働。そんな中、トリドールだけでなく、多くの外食産業が、森岡氏のような、消費財出身のマーケターを雇用しているとのニュースが、日経新聞にでていました。

森岡氏がトリドールと協業

うどんの丸亀製麺を展開するトリドールホールディングスが、ユニバーサルスタジオジャパンの再建を手がけて成功させた、森岡毅氏と協業することが話題になっています。 この方は、USJを赤字からV字回復させたことで有名な方です。その本は数々出ているのですでに読まれた方も多いかもしれません。(森岡氏の書籍はこちら→ https://amzn.to/2FWFTi6

来客数も減り、話題もなく赤字が続いていた当時のUSJに、ホラーナイトやハロウィンのイベント、ハリーポッターのアトラクション誘致などを仕掛けたことで、集客数をあげ、ひいては黒字にもっていった際の、立役者として有名なのです。 その森岡氏が丸亀製麺と協業するので話題になっているのです。

なぜトリドールは森岡氏と協業するのか?

森岡氏はUSJの前にはシャンプーや石鹸で有名な、P&Gでマーケティングをされていました。森岡氏のキャリアでの経験はテーマパークと日用消費財です。一見「なぜ外食産業が?」と、不思議に思う方々が多いかもしれません。 実は、森岡氏の2つ前の古巣である、P&Gは、マーケテォングのエクセレントカンパニー。知る人ぞ知る、ブランドマネージャーの育成場のような会社で、多くのOBが様々な業界のブランドマネージャーや、マーケティングの責任者として活躍しています。

日経新聞によると、トリドールの社長が、「これまでと違って来客者数が伸びない」、と感じたのが森岡氏との協業のきっかけになったのだそうです。森岡氏が担当するのは、これまでトリドールで中心戦略としてやってきた、「季節商品のプロモーション」をゼロから見直すこと、そして、ブランドをもう一度構築し直すこととのことです。

丸亀製麺は私も好きで、メニューも多くの中から選べるので楽しいし、よく行きます。特に、あのつるっとした喉ごしのいい麺が美味しいですよね。なんでもこの麺は、店内で製麺しているそうです。どこかの工場で生産したものを運んでくるのではないため、作りたての新鮮さがあってシコシコと美味しいのでしょう。 これは、明らかな強みですし、他社と違う差別化ポイントですよね。しかし、市場調査をしてみたら、「自社の強みである店内製麺を知っている人が、半数にも満たなかった」というようなデータが出たそうです。

森岡氏は、USJ時代にも、「予算を使わずに、テコ入れをせよ!」との司令を受け、必死で考えたそうです。そんな中、普通やりがちな「閑散期をどう伸ばすのか?」という考えではなく、「もっと伸び代がある時期はないのか?」と考え、予算がない中ハロウィンに目をつけたそうです。来店者数やどんな人が来るのかという、数字を分析した上で新しい手を打ち出しヒットさせたのです。

USJの入場価格なども綿密な計算や、統計的な手法で割り出して、値上げなどをしても、来場者が減らないどころか増えさせた実績も、数学マーケティングの賜物です。その点を見込んで今回トリドールは、森岡氏と協業したいということになったのでしょう。

外食産業はなぜ消費財出身のマーケターを重用するのか?

このような動きは外食産業にも多くみられるようです。世の中の動きが「マーケティングの重要さ」に、つながってきているのを感じ、マーケターの私としては、なんだかとても嬉しく思います。 500円ランチを手がけたケンタッキーフライドチキンの中嶋氏、すかいらーくのアプリなどのデジタル化を手がけた和田氏、日本マクドナルドで女性や子供のメニューを手がけたズナイデン氏も、「消費財出身」のマーケターです。 どこも、業績を回復させましたが、共通しているのは、日経新聞にもあった通り、「待ちの姿勢から攻めの姿勢」に転換することを目的としたことです。

マーケティングは広告を作ったり、Webをカッコよくしたしするだけではありません。そういった表面のことにとどまらず、収益を上げるための計画を作り、達成できるように各部署と連携しながら実践し、成果につなげるという幅広い業務になります。サッカーで言えば、司令塔的な役割ですよね。

外食産業は競争も激しく、ともすれば価格競争になりがちな業界だと言えます。その中でいかにお客様に選んでもらえるのか、ということを考えないと生き残ることが難しい業界だといえます。 その意味でも、しっかり市場を分析し、お客様が誰かを見つけ出して、そこに自社だけのメニューをあて、どうやって知ってもらいきてもらい、ファンになってもらうかを考えていくという、マーケターの役割が外食産業でも浸透してきたと言えます。

image by: Shutterstock.com

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