なぜ茨城は「いじめが解決しにくい県」の烙印を押されているのか

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2015年に茨城県取手市で発生したいじめ自殺事件に関して、7月25日、関係者に対する処分が発表されました。しかし、この処分内容に異を唱えるのは、無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』の井澤一明さん。井澤さんは今回、万人が納得するその理由を記事内に記しています。

管理職は、一段と重い厳罰に処すべき

いきなりの猛暑になって、身体が驚いているようにも感じます。お祭りや花火大会を楽しむのにはいいのかもしれませんが。

夏休みに入った7月31日に、4月に行われた全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果が公表されました。都道府県別の平均正答率では、秋田や福井、石川などが上位を占めましたが、英語においては、東京、神奈川などの首都圏が上位に入っています。英語のテストは、今回が初めて実施され、中3生に「読む・聞く・書く・話す」についてテストが行われました。英語正答率は「読む」が56.2%、「聞く」が68.3%、「書く」が46.4%、「話す」が30.8%となったとのこと。報道によると「話す」では2人の会話を聞き、即興で質問する問題の正答率が10.5%と低かったことや「書く」においては学校を示すピクトグラムを見て、どちらが良いか25語以上で自分の考えを書く問題の正答率は1.9%だったとされています。

今後の課題も出てきましたが、子供たちが、学力を伸ばすためには、安心して学べる環境が必要です。いじめられるとそれまで頑張っていた勉強への意欲が失われ、進学にも影響することになります。子供たちがどのような学校生活を送ることができるのか、その要は「先生との出会い」にあると思っています。

2015年、茨城県取手市の中3女子生徒が「いじめられたくない」と書き残したいじめ自殺事件で、当時の学校や市の教育委員会の対応に問題があったとして、7月25日に関係者9人の処分が発表されました。処分内容については以下のように報道されています。

自殺を誘発する不適切な指導を行ったなどとして、担任を停職1か月、校長に対しては自殺後の対応に問題があったとして、給与の10分の1を12か月減給。市教委の教育参事と指導課長を給与の10分の1を12か月減給。部長を給与の10分の1を6か月減給。辞任した矢作元教育長は、在職時の給与の10分の1、12か月分を自主返納。

この事件では、取手市教委は、学校がいじめによる自殺の疑いがある重大事態としていたのに市教委でいじめによる重大事態ではないと決議ししかもそのことを遺族に伝えてもいなかったと言います。また、ご遺族の意向を受けて第三者委員会を設置しましたが、その委員会でも「いじめはなかったの前提でなにもしないまま時間だけが過ぎてゆく中で、ご遺族が文科省に「取手市の第三者委員会による調査の中止」を要請されました。文科省は、取手市教委の担当者を呼び、聞き取り調査を行い、その結果、取手市教委は調査の見直しを検討しご遺族に謝罪したのです。

担任に対して、「停職1か月」という懲戒処分は、いじめ事件としては大きな決断だと思います。しかし、事件の流れを見る限り、組織としてのあり方に大きな問題を抱えているように思います。この事件の対応は、明らかに「意図した隠蔽」です。したがって、「担任より更に重い処分を管理職教育委員会に課すべきです。自分たちで、「自分に甘い処分」をするとはなんとも情けない組織であろうかと感じます。

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