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ボディメイクのプロに聞いた「ゴールデンタイムは本当にある?」

「トレーニング後にプロテインを飲んでも効果を体感できない」という読者から、メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の桑原弘樹塾長の元に質問が届きました。桑原塾長は、筋トレ後のゴールデンタイムのメカニズムを解説。最大の効果を得るための栄養摂取方法を伝えます。

ゴールデンタイム

Question

運動不足解消から筋トレ歴1年ほどです。ゴールデンタイムについて教えてください。トレーニングが終わってプロテインを飲むことを勧められますが、あまり体感しません。何故ゴールデンタイムにプロテインを飲むといいのでしょうか。ゴールデンタイムは本当に存在するものなのでしょうか。(41歳、男性)

桑原塾長からの回答

ゴールデンタイムとは筋タンパクの合成が最も活発になる時間帯のことを指します。簡単に言えば、筋肉が最も発達しやすいタイミングです。以前は、トレーニングが終わって1時間以内というのが一般的でしたが、どんどんと研究が進んだ結果、今では30分以内が定説になっています。

筋トレをしなくては筋肉は合成に向かわないのですが、筋トレをしている最中はほとんど合成は行われていません。元々、筋肉は合成と分解が綱引きをしている状態にあります。この綱引きはどちらかというと分解の方が強くて有利なのですが、幾つかの条件を満たしてやることで合成の方が強くなってくれます。その大前提が筋トレなのです。

しかし、筋トレ最中はエネルギーをひたすら消費して、筋線維もどんどん痛めつけるという作業なので、合成は優位になりようがないのでしょう。ところが、トレーニングが終わった瞬間から、今度は一気に合成が盛り返していきます。一般的には、トレーニングがハードであればあるほど、合成の勢いは強くなります。これがゴールデンタイムの正体でもあります。

合成が優位ということは、血流もよく酸素も栄養素も吸収されやすい体内環境になりますので、ここでプロテインを飲むということがゴールデンタイムを活用することにもなります。

プロテインでなくても、肉や卵といった良質なタンパク源であればいいではないかと思われるのですが、今度は消化吸収のスピードの問題が生まれてきます。トレーニング直後から始まった合成の勢いは、個人差はあるものの約2時間ほどかけてピークを作ります。つまり、トレーニング直後から2時間後までの時間帯に血中のアミノ酸濃度を高めてやりたいのです。

そのタイミングに対して非常に好都合なのがホエイプロテインです。残念ながら肉や卵といったタンパク質は栄養価的には申し分ありませんが、消化吸収を経てアミノ酸濃度を高めるという点では約4時間ほどかかってしまうため、せっかくのピークに間に合わないのです。従って、大豆プロテインやカゼインプロテインも、ゴールデンタイムに摂取するプロテインとしてはお勧めではありません。

逆に、よりお勧めのパターンは、トレーニング直後に必須アミノ酸を摂取して、そこからシャワーなり、着替えなり、少しだけ時間をおいて、ホエイプロテインを飲むというパターンです。ここにホエイペプチドなどを利用するケースもあります。

血中のアミノ酸濃度が筋タンパクの合成に効果的なのは間違いありませんが、別の観点から効果的な方法があります。それは合成ではなく、分解の方に着目をする方法です。つまり、綱引きにおいて、合成を強くするという発想ではなく分解を抑えようとする発想です。

ここで役立つのが糖質です。最も筋肉の分解が敏感なのが飢餓です。飢餓の歴史を背負っている私達人類の遺伝子は、飢えという情報にはとても敏感に反応をします。その筆頭が筋肉の分解です。

トレーニングは短時間にエネルギーを一気に消費する作業でもありますから、急激に訪れた飢餓状態のようなものです。当然、筋肉は分解を活発にしていきます。この飢餓の情報を速やかに修正してくれるのは、エネルギー源の中心でもある糖質ということです。

筋トレ直後のいわゆるゴールデンタイムに糖質だけを摂取した群と、タンパク質だけを摂取した群の比較で糖質だけの群の方が筋肥大したという報告もあるくらいです。つまり、綱引きにおいて、合成を強くするよりも分解を弱くする方が効果的であったということなのです。

そして当然のことながら、合成を強くしつつ分解は弱くするというパターンが最も効果的であるとういことになります。ゴールデンタイムには、ホエイプロテインだけでなく、MD(マルトデキストリン)などの糖質も同時に摂取してあげることで、最大限の効果が期待できるはずです。

これをベースとしたうえで、先の必須アミノ酸やペプチドの利用であったり、トレーニング前にも必須アミノ酸を摂取したり、トレーニング中にBCAAやCCDを摂取したり、という補強策が加わっていくイメージです。

最後に質問者の方の、ゴールデンタイムのプロテインが体感できないという点についてですが、これは当然のことかもしれません。元々、筋肥大自体が即効性をもって体感するものではないからです。

例えば、挙上重量が伸びるといったような現象は、トレーニングのビギナーには簡単に起こり得ます。これは神経系が発達することによるものなので、決して筋肥大が原因ではありません。

ゴールデンタイムは体感する類のものではないのかもしれません。体感するというよりは、数年かけてそこを意識した人としなかった人で差が出てくるのでしょう。今は体感出来ていないかもしれませんが、ゴールデンタイムは1日の中でも特に意識を高める価値があるシーンですので、継続することはマイナスにはならないと思います。

image by: Shutterstock.com

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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