MAG2 NEWS MENU

いまや犯罪にも自動音声「ロボコール」。アメリカの電話詐欺事情

「Flowers」を電話番号化すると「356-9377」。携帯電話でおなじみの数字部分に書いてあるアルファベットを利用し、単語で電話番号を表す方法は、アメリカでは携帯普及前からあったようです。そんなアメリカの電話事情を伝えてくれる『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でNY在住のりばてぃさんは、最近詐欺電話に遭遇したそうです。日本でも使われ始めた自動音声「ロボコール」による手口など、電話詐欺でも「先進国」のアメリカの事情を教えてくれます。

あの手、この手の電話詐欺

このメルマガを執筆中、知らない電話番号から電話がきた。1-800番から始まる番号で、日本でいうところのフリーダイヤル。英語ではトール・フリー・テレフォン・ナンバー(Toll free telephone number、以下トールフリー番号)と言う。

この番号(1-866とか、とにかく800番台)はアメリカ国内での通話は料金がかからないシステムで企業のサービス窓口によく使われている。しかも、宣伝にも便利。

アメリカでは1と0以外の番号にアルファベットが割り振られていて、例えば、2にはABC、3にはDEF、4にはGHIといった具合に配列されている。

このアルファベットは番号の下に明記されているので、それを見ながら文字に合わせて電話をかけるだけ。企業やサービス名をあてがって消費者が覚えやすいように工夫できるため多くの企業が活用している。

いろいろ事例はあるけども興味深いところでは、1-800-Flowers。創業は1982年の老舗のお花屋さん。アメリカでも最初にトールフリー番号を使った会社の1つでしかも社名にしている。

Eコマースが普及したらまっさきに、「1800flowers.com」とし、ウェブサイトも当然、https://www.1800flowers.com/…だ。

Eコマースサイトなので現在ではオンライン注文もできるけど、電話オーダーも対応していて、電話したいときは、1-800-Flowersにかければ良い。番号に変換すると、1-800-356-9377となる。わかりやすいし覚えやすい!

ニューヨークの地下鉄内の広告で良く見かけるものには、離婚専門の弁護士事務所による1-800-DIVORCE、などがある。インパクト強くてほんと覚えやすい!

そんなわけで、1-800番から始まる番号からの電話はどこかの企業もしくは、セールス電話であることが多い。だから、1-800の番号の電話に滅多にでないのだけど(重要であれば留守電かメールがくる)、ここ数週間で水の宅配や病院関連で1-800の電話でのやりとりがあったので、見たことない番号だな~と思いながらも念の為出てみた。

電話の主は我が家が使用するガス・電気会社からで、毎月遅れなく料金を支払っているので、そのお礼に次の支払いから100ドル(約1万円)割り引くという。100ドルは嬉しい。

えーほんとにー?と喜びながら念の為ガス・電気会社のウェブサイトの自分のアカウントにログインして確認してみる。というのも、何となく怪しいから。

ガス・電気会社が100ドルも割り引くってことは聞いたことがないし、もし本当だったらアカウント内にオファーとして表示されているはずだからだ。

アカウントにログインしてもそういう情報はない。そして、今月半ばに支払う金額は170ドルほど(自宅をオフィスにもしているので、クーラーなどの電気代でだいたい月額150ドル前後)。100ドルも割引きされたら70ドルほどになってけっこうお得、嬉しい。でもだからこそ、ますます怪しい。

近年、日本もそうだと思うが、アメリカでは電話詐欺が頻発している。それこそ電話自体でないようにしたほうが良かったりするほど。あまりにも多いから電話をかける詐欺側もロボットを使って自動で電話をかけたりもしている。

このロボットを使った電話は「ロボコール(robocalls)」と呼ばれ、電話・通信会社のベライゾンによると今年だけでも15億回ものロボコールを防いだとのこと。めちゃくちゃ多い。

そんなわけで無料でロボコールを自動拒否できるようにすると発表。ベライゾンだけでなく他の電話・通信会社も同様の対策をとっている。

ご参考:Verizon automatically enrolling customers in free robocall-blocking service

ロボットに自動音声で電話をかけられても電話を切ってしまえば良いのではないかと思うかもしれないが、その内容が税務署からという設定で税金の支払いが遅延しているとか、申請中の学生ローンが降りなかったため他の方法で申請するか?と聞いてくるものだったり、酷いものには孫が事故にあったというものも。慣れていない人が初めてそういった電話を受けたら騙されるかもしれない。

だからどうやってロボコールを防げばいいかなんて記事も出ているほど、みんなが迷惑しているのである。

ご参考:Scam of the month: How to fight back against robocalls

そして今回、ライフラインの1つである電気・ガスに関する電話。ひとまず内容を聞かないとと思ってしまう。でも今回受けた電話を怪しく思ったのは、割引きの金額が絶妙に心をくすぐる金額だったこと。

もしこれが3ヶ月間無料!とか、1000ドル(10万円)貰える!とか言われれば、速攻で詐欺判断できる。それがもともと割引きされなくても、支払う予定のものを割引きされたらほどよく嬉しい範囲の金額で提示してきたのだ。

割引きされるなんて珍しいけど、「100ドルならありそう」と、思わせる金額。50ドルでもOKだったかもしれない。もやもやした不信感だけが残るけども、はっきりと詐欺であると確信できない金額なのだ。しかも、個人的な経験でここ1週間でいろいろ割引きを経験している。

前回のメルマガでもお届けしたが、バック・トゥ・スクールのセールもあり、購入した商品がいろいろ割り引かれたり、以前使っていたサービスで解約したものに対して再加入すれば65%割引き!というハガキが届いたり。

もっともお得と感じたのがコンタクトレンズを購入したとき。1年分買えば、即100ドル引きでウェブサイトから後日別途申請するとさらに200ドル割引きになったのだ。もともとEコマースの安いところで1年分購入しようと思っていたのだけど、さらに200ドルも安くなったので、どこよりも最安値だった。販売はちゃんとした小売店舗でのこと。

合計300ドルも割り引かれた経験を直近でしていて、なんなら道端で5ドルも拾った。腰痛の苦しみを割引きが慰めてくれるようだった。そんな少し心がもろく緩んでいるところに今度は電気・ガス代が100ドル引きときた。あり得るかもしれない!

思わず電話で感嘆してしまった。かけてきた相手も嬉しそうな反応だ。100ドルの割引きが決まった、手続きに入る。電話の相手は、「それでは手続きのためいくつか確認させてください。まずは名前と住所をお願いします」と言ってきたのだ。

相手は電気・ガス会社で毎月料金をきちっと支払うから100ドル引きするよって電話をかけてきたのに、個人情報を聞いてくるとは何事なのか?

「ほんとにその会社の方ですか?なんで私の情報を知らないのですか?」と聞いてみる。「この後、会計担当が折り返す際に確認するためだよ」と若干焦ったような口調でよくわからない返答。

さっきから頭の中にあったもやもやした不信感が確かな不信に変わった。これは詐欺か何かだ。しかもずっと私の名前を言ってくるが、電気・ガス料金のアカウントは夫の名前で作っているので、それもおかしい。おそらく、どこかで名前と電話番号だけの名簿を入手して、さらに詳細を聞き出すことで転売するか、何かの詐欺に使うための電話なのだろう。

詐欺だと確信したら用はないので、一旦電話をホールドして、客が来たから1時間後にかけてといって電話を切った。当然、この番号は詐欺という理由で着信拒否に設定。せっかくなので、電気・ガス会社に問い合わせてみると、最近では企業からの電話だと思わせるためにわざと1-800の番号を使ったものが多いそうだ。いろいろ工夫している。

そうそう、この詐欺電話でもう1つ詐欺っぽいな~と気になったのは、毎月の支払いに関する部分で、「支払い期限前に支払ってますよね?」と聞いてきたことだ。支払っているとわかっているから電話してきているはずなのに、なぜに質問してくるのか?

それも疑問だったが、けっこう巧妙なやり方で、質問に対して、それが正しければYesとなる。これ、心理操作の技術であったような…。まず相手に間違いないと確認させることで、他の部分への疑問を持つ余地を奪う、もしくは薄れさせる。Yesが多くなるほど肯定感が強くなるので、Noが出にくくなる。もし仮に支払いが遅れたことがあったという人の場合でも、もともと100ドル割引きの話をするつもりだったので、好都合。割引きに簡単に食いつく可能性は高い

巧妙な手口で騙してくる人はいるので、即決しないのが一番の対策だとは思うが、日頃からいろんな情報に触れておくのも対策の1つかなと思う。いろんな角度から情報を得て、検証する癖をつけておく。考える力にもなるし、何よりアイデアのもとにもなるかもしれない。

image by: Shutterstock.com

りばてぃこの著者の記事一覧

ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 メルマガ「ニューヨークの遊び方」 』

【著者】 りばてぃ 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 水曜日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け