「障害者の生涯学習」その地域モデル確立に向け必要なものは何か

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さまざまな福祉活動に関わるジャーナリストの引地達也さんが学長を務める和光市のシャローム大学校が、今年もオープンキャンパスを実施しました。引地さんはメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』で、学びの良さを実感したと報告。同時に、特別支援学校後も学び続ける「障害者の生涯学習」という考えや場を広げていくために進めている、長野県佐久市と静岡県伊東市での「オープンキャンパス」が直面している課題について言及しています。

2年目のオープンキャンパスと地域モデル確立に向けて

先日、障がい者と市民が共に学び合うシャローム大学校の「オープンキャンパス」が、今年度の初めての講座を埼玉県和光市で行った。昨年に引き続き5つのテーブルに5-6人の当事者にサブティーチャーをつけたスタイルで行う体験型の学びは、これまでの経験を生かした工夫の上、新しい者同士の「交じり合い」と「学び合い」が狙いにある。

今回の授業のテーマは「いきものってなんだろう?─いのちから私たちを考える」で、講師は杏林大医学部の先生だった佐藤玄・シャローム大学校教授。

DNA研究が専門の佐藤教授が主導し、いきものの設計図であるDNAをクイズ形式で考え、実際に野菜や豚のレバーからDNAを取り出して、見る、という実験を行った。和気あいあいした雰囲気の中、初めて見るDNAに歓声を上げたのは、障がい者も一般参加者もサブティーチャーも関係ない。これが学びのよさなのだとつくづく実感する。

この講義は文部科学省の「障害者の生涯学習」の確立に向けた委託研究事業の一環として昨年度に引き続き実施する事業。2014年に日本が批准した障害者権利条約に基づく「障害者の生涯における学び」をどのように保障するかの課題に正面から取り組んだ試みだ。

文科省が本格的に取り組み始めたのが3年前で外部へ研究委託したのが昨年から。その昨年から私は文科省とともに、「障害者の学びの拡大」に向け奮闘しているが、やはり「障害者の生涯学習」への認知度が低い、というこの全体環境へのアプローチが困難だ。

特に今年度は昨年実施した地元の埼玉県和光市やさいたま市を飛び出し、地域モデルを確立しようと長野県佐久市と静岡県伊東市での開催に向け準備を進めているが、周知の段階から難しさを痛感している。

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