「ここでしか手に入らない」となれば購買意欲がそそられてしまうのは人の常。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「希少性」を売りにして話題となっている高級ポテトチップスを取り上げ、その戦略を紹介しています。
通販限定の「ポテトチップス」は、なぜ売れているのか?
ネット通販でしか手に入らない「ポテトチップス」をご存知でしょうか。菊水堂というメーカーの『できたてポテトチップ』。自社工場から直接お客さまに発送しています。一部店舗で販売はしているものの、基本的には通販のみとなっています。できたてのポテトチップスが、早ければ次の日には届くので、できたての美味しさが評判となり、少し前まで、1ヶ月待ちの状態が続いていました。
チップスは、スライスして揚げただけという素朴な見ため。決して、上品さはありません。パッケージもデザイン性はなく、簡素なもの。それでも売れるのですから、「よほど美味しいのか」と誰もが思うでしょうが、売れている理由はそれだけではありません。通販でしか手に入らないという、希少性にあります。消費者は、珍しいものを欲しがります。近くで売っていないとなると、なおさら欲しくなります。ぜひ試してみたい、となるものです。
価格としては、145g×3袋×2箱がセットになって、1,800円(税込み)+送料(関東近県550円)。一般的なポテトチップスが1袋60g程度なので、このセットに換算すると、14.5袋分となります。1,800円と送料550円を足した金額を、市販品の量で換算すると、1袋約162円となり、やや高級品だと言えます。しかし、通販限定という付加価値が、それほど高いものだとは感じさせず、1ヶ月待ちでも売れ続けていたのです。
いまは通販以外には一部の店舗で売っているだけですが、もし流通に乗せて、どこででも買えるようになると、人気は一気に下降するかもしれません。いつでもどこでも買えるものに、人びとはあまり興味を示さないものです。手に入らないものだから欲しくなり、手に入れた時に感動も大きくなるのです。美味しさも倍増します。希少性があるから、高くても売れるのです。
このまま手を広げずに、地味に製造していく方が、長く生き続けることができます。道を見失わないで欲しいと思います。
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