【書評】平成衰退の戦犯はこの国のメディアだと断言する納得の訳

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先進国の中でも唯一「衰退」が止まらない我が日本ですが、平成時代に日本を衰退させた「戦犯」政治家とは誰だったのでしょうか? 無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長の柴田忠男さんは、その「亡国政治家」の実名を挙げるとともに、最大の戦犯は日本のメディアだとして、その理由を一冊のレビューを通して記しています。

偏屈BOOK案内:乾正人『令和をダメにする18人の亡国政治家』

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令和をダメにする18人の亡国政治家
乾正人 著/ビジネス社

産経新聞論説委員長が書いた「永田町取材30年の記者が断罪! 令和をダメにする18人の亡国政治家」という、多少辛口な人物評。素敵なタイトルであるがその18人とは誰?というとどこにも一覧がない。カバーには小池百合子、小泉進次郎、玉木雄一郎、小沢一郎の顔がある。小沢は間違いなく亡国政治家だが、他は小者だ。冤罪wだ。ほんと、18人が誰なのか読み込んでも分からない

この本のタイトルは詐欺に近い。「カネまみれの昭和の政治」をひきずってきた小沢一郎が最大の戦犯、「権力の二重構造」という田中角栄の手法を踏襲し、次々と傀儡政権をつくった竹下登、日本の「強制連行」を認める談話を出したことで後世にまで累を及ぼす河野洋平の三人を、平成敗北の「A級戦犯」とする。もちろん、異論はない。あと15人を並べて斬り捨てて……いないんだよ。

人数には入らないが、朝日新聞をはじめとする亡国メディアこそ最大の戦犯だろう。産経を除くほとんどすべてのメディアは、鳩山由紀夫政権がスタートする前後、「政権交代が実現すれば、なにもかもバラ色になる」式の手放し礼賛ぶりだったではないか。著者は断言する。「平成19年のあの時点で、政権交代をメディアが煽った罪は万死に値する」そのとーり!読売でさえアホだった。

「当時、民主党に政権運営能力がなかったのは、当事者だった小沢一郎でさえ分かっていたことであり、福田康夫政権のときには、自民と民主の大連立政権樹立寸前までいった。民主党政権でなかったら東日本大震災の対応も少しはましだったはずである。民主党政権3年間の記憶が有権者から消え去るまで、政治改革が目指したはずの2大政党制によるスムーズな政権交代の実現なぞ夢のまた夢になったのである」。メディアも平成衰退の「大戦犯」だったのだ。

平成日本が敗れた理由を筆者は3つ挙げる。

  1. 焼け跡からの奇跡の経済復興に慢心してしまった
  2. 30年間に首相の座に就いた政治家がのべ18人を数えるほど政治が混迷を極めた
  3. 中国の共産党独裁体制を支援した

とくに3番目は取り返しのつかない失策である。天安門事件で国際的に孤立し、苦境に立っていた中国共産党を助けたのが日本だった。海部は円借款をいち早く再開した。

宮沢は天皇訪中を実現させた。中国は難なく国際社会に復帰した。一党独裁を維持したまま、世界第2位の経済大国にのし上がった出発点はまさにここにある。この失敗に「意味があるとすれば、誤った歴史認識に引きずられることなく、冷徹に自国の利益を何よりも優先した決断をしなければ将来に大きな禍根を残す、という教訓を歴史からくみ取ることしかない」……残念無念である。

トランプが大統領選を勝ったとき、著者は「トランプでいいんじゃないか」という記事を書いた。その思いは「トランプで良かったじゃないか」との確信に変わった。いまやトランプのツイートで、米国のむき出しの本音を知ることができる。トランプはいずれ(もしかしたらもうすぐ)「俺をとるのか、習近平をとるのか」と安倍首相に迫るはずだ。間髪を入れず you が正解。

編集長 柴田忠男

image by: R R / Shutterstock.com

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