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なぜ、多くの企業の「ハラスメント相談窓口」は名ばかりなのか?

嫌がらせ=ハラスメントに対して、企業は相談窓口を設置する義務があります。しかし、実情はその重要性が理解されておらず、機能していない場合もあるようです。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、企業でハラスメント対策相談窓口を設置する際のポイントを紹介しています。

ハラスメント相談窓口

ハラスメント対策での重要ポイントに相談窓口がある。いまや就業規則にも、社内ポスターにも相談窓口を設置する義務がある。しかし、現実は…??

初動となる窓口なのにその重要さはあまり理解されていず、小規模では、名ばかり相談窓口が多いように感じる。では、良い相談窓口をつくるにはどうすればいいのだろうか…。


新米 「ハラスメント対策で相談窓口の設置をしないといけないことについて、どんなことに注意すべきですかって、質問が来たんですが、どう答えるのが良いですか?」

大塚 「へぇ~、あんたにハラスメントの質問が来たんやねー」

新米 「そうなんですよ。まだちっともわかってないのに…」

E子 「相談窓口の初期対応、つまり一次対応は、ハラスメントを未然に防いだり、大きくなったりすることを防ぐ極めて重要な役割でしょ。でも、案外そう理解されていないことも多いわ。そこでトラブルになって、次の段階であわてて上司が出てきてフォローしようとしても、もうその時には手遅れっていうことだってあるのよ」

新米 「うーーん、一時対応をきちんとしないと、物事が深刻化してしまうこともあるってことですね」

大塚 「ことが大きくならないようにするためにも、気軽に相談できる窓口をつくることが大事ってことですね」

E子 「そうね。相談担当者がスムーズに対応できるよう助言や援助の体制や教育・研修制度の整備がほしいわね」

大塚 「担当者マニュアルや取扱いルールの整備、相談記録も必要になりますよね」

深田GL 「そうだね。ホント、相談しやすい窓口をつくることは重要だよ。他には、どういうことに気をつけるのが良いかな?」

大塚 「窓口担当者は、男性だけでなく、女性もほしいですね」

新米 「一人で対応するのでなく、複数の方がいいですもんね」

E子 「そうね。男女含めた複数を選任して、相談者側で担当者を選択できるようにするのがいいわね」

新米 「話しやすい人選ぶことができるのは良いですね」

深田GL 「相談担当者の人選については、ハラスメントや人権問題に十分な理解を持つ人中立的な立場で問題解決にかかわれる人人の話を傾聴できる人日頃の言動が皆さんに信頼されている人。そういう人から選ぶのが良いね」

大塚 「うーーん、奥が深いですね」

深田GL 「規模が比較的大きい場合は、社内の保健師さん、カウンセラーや看護師さん等を窓口にすることもあるだろうね」

所長 「なになに…たくさん意見が出ているね」

新米 「はい、先輩方にいろいろ教えていただいています!」

大塚 「相談の仕方も面談だけでなく、電話やメール等でもできると良いですね」

E子 「その方が相談しやすいこともあるわね。電話やメールなら、タイミングを逃さず相談できることもあるかも…」

所長 「初期の段階で安心して相談できるようにプライバシーの保護と不利益取扱いがないこと些細なことでも相談に応じること相談対応の流れなどを周知して、相談してもらいやすくすることこんなことに注意するのが良いね」

新米 「周知が必要ですもんね。たとえば、入社時にアナウンスする、ハラスメントに関するアンケートを取る際に一緒に周知する、定期的に周知するなど…。他にどんな方法がありますかねぇ…」

所長 「相談担当者の役割は、担当者自身には当然、従業員の皆さんにも立ち位置を理解しておいてもらう必要があるね」

新米 「立ち位置?」

所長 「つまり相談対応者は、何者として相談を受けるのか?ってことだよ。相談担当者は、個人的に相談を受ける訳ではない、雇用管理上の問題に対して、経営上重要な役割を担うんだ、という意識を持っておいてもらう必要があると思うよ。つまり、組織活性化の推進役として動いてもらうわけだ」

新米 「どこまでの範囲の相談を受けるのですか」

所長 「窓口の人にどこまで担当してもらうのかは、その企業が決めることだね。相談を受け付けて話を聴くだけの『一時対応』に限る場合と、『一時対応』だけでなく、その後の事実確認や措置の検討、相談者や行為者への説明やフォロー、再発防止策の検討まで一貫して担当するケースもあるからね」

新米 「『一時対応』だけに限らない場合、一挙に担当範囲が増えますねー。そこまで対応しようとすると、体制づくりも必要だと思いますが、新人さんではいきなりは難しいですね」

E子 「カウンセラーの勉強などしてきた人は別として、たしかに誰もがいきなりは無理かもしれないわね。最初に相談者と信頼関係が結べないと話は聴けないもの…」

所長 「ハラスメントの内容は、極めて多様で複雑だから、窓口担当者でも裁判例や社内での事例等を通しての学習を重ね、知識を深める必要があるんだ。勉強会や研修会だけでなく、ロールプレイなどの体験学習も取り入れ、傾聴訓練を行うことが不可欠だと思うよ」

深田GL 「所長、そう言う意味では、相談対応者の学習は青天井かもしれませんね。欲をいえば、『人権』や『メンタルヘルス』、多様な人材を活かす『ダイバーシティ』等の知識も仕入れてほしいなと思います」

所長 「そうだね。大企業なら相談者研修にも時間を割くことができるが、小規模だとそうもいかない。そこで、我々の出番だ。皆もしっかり対応できるようにしてくれよ。窓口での対応、初動を疎かにしてはいけない。柔軟で幅広い範囲で受け付けることが望ましい。対応がたとえ、些細なことでも話を聴いていくと、深刻な問題が潜んでいることもある。相談者が誠実に対応することで、社内で信頼感が生まれ、相談しやすい窓口へと成長するんだ」

新米 「うーーん、ポイントは沢山ありますね。頑張って、お伝えしていきます!」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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