日本も「米国第一」をやめないと
日本もまた、米国が何でも一番だった20世紀へのノスタルジアの中で生きている。上述のジム・オニールの論説を紹介した日経は、ご丁寧にも藤井彰夫編集委員による「米中対立は『体制間競争』」と題した解説を付し、次のようにクギを刺している。
「米国が恐れるのは、中国に経済規模で抜かれることだけではない。民主主義国家ではない共産党一党支配の中国が、軍事力、技術力でも米国の優位を脅かす『体制間競争』だからだ。日米摩擦の際も米国で『日本異質論』はあったが、あくまで同じ民主主義国家であり同盟国の仲間内の競争にすぎなかった。米中の対立はもっと根深く深刻だ」(10月12日付 日本経済新聞)
日経の世界観でも、まだ世界は「西側」と「東側」に分かれていて両者の間には「体制間競争」とやらがあるらしい。ガブリエルにとっては自由と平等など「普遍的価値体系」を持つ国と「非自由主義」の国、日経にとっては「同じ民主主義国」と「民主主義国家ではない共産党一党支配」の国というわけだが、この物差しで測ると依然として世界は2つに分かれているというのは本当なのか。そこから考え始めないと、いつまで経っても「ポスト冷戦」時代は始まらない。
image by: Hadrian / Shutterstock.com