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NY在住日本人社長が10年ぶりの香港のタクシーで感じた変化と持続

11月でニューヨーク在住20年になるという米国の邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんが、自身のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』で、3週間に亘ったアジア出張記を届けてくれました。第1弾の今回は、ラスベガスを経由しての香港到着まで。NY以外で感じる車社会アメリカの実態と、10年ぶりとなった香港の空港からのタクシーで感じた変化、そして10年経っても変わらない部分を伝えています。

秋のアジア出張

来月、在ニューヨーク20年目に突入します。自分だけは「アメリカ暮らしの変な日本人」にならない自信がありました。大人になってからアメリカに渡ったから。これ以上ないほど、日本人だと自覚しているから。ただ…20年も経つとどうやらそうとは言い切れないようです。あきらかに浮きまくった、ラスベガスー香港ーマカオを経由した、日本出張記をお届けします。

翌日、飛行機に乗るくせに、新日本プロレスのニューヨーク大会のうちあげに参加、でっかいレスラーたちと飲んで、おつかれさまして、タクシーに乗った頃にはうっすら明るくなっていました。

うちあげに一緒に参加したうちの社員、20代の女性インターンは、たまたまスーパースター棚橋弘至選手の前の席に座り、あまりのカッコよさにぽーっとなり、帰り道、家路とはまったく真逆の方向に行く僕のタクシーに何も考えず乗り込んでくるほどでした。バカなのか?到着してから、また逆方向へのタクシーに乗せました。余計な経費をかけた彼女に反省の色はなく、お酒の入った顔で「タナハシ、カッコよかったぁ~」とつぶやいて帰っていきました。明日から3週間の海外出張、社長、気をつけてー、のひとこともないまま。

シャワーを浴びて、うとうとベッドで仮眠をとったら出発です。子供が生まれる前は出張、特に母国日本へのビジネストリップは楽しいイベントでした。今は、結構、キツイ。幼稚園に通い始めたばかりの双子と離れるのは、結構、せんちめんたるになります。でも、仕事なので仕方ありません。今回は、日本に行く前に、一回ラスベガスに寄り、そのあと香港にも寄ります。3週間分のスーツケースは50キロを超えています。完全に体力勝負です。30代には意識することすらなかった自身の体力を疑いまくりです。大丈夫か、おじさん。

ラスベガスへは、7時間。空港に到着するとクライアントが迎えに来てくださいました。車内でお礼を言うと「散歩みたいなもんだから」と笑います。そう、西海岸の人にとって、車で30分の距離はなんでもない「散歩」。西海岸だけでなく、ニューヨークを除く、アメリカ在住者は本当に車を足代わりに使います。向かいのスーパーに行くのにも、毎回車に乗って運転して行くのだとか。

事実、今回もその足でモールの中のレストランに連れて行ってくださり、食事したのち、「コーヒーでも飲みに行こうか」と、また車に乗せられました。で向かった先は、Uターンして向かい。同じ駐車場の中での移動。歩くこと自体を放棄したのだろうか、と思わされるほど。

アメリカは「肥満」が社会問題としてよく挙げられます。その際、よくマクドナルドを始め、ファーストフードに対するバッシングもセットでついてきますが、実は問題の核心は、食べ物それ自体より、単純に車社会による運動不足なのではないかと思うほどです。

運動不足になりませんか?そう聞く僕にラスベガス在住25年の彼は「いや、そんなことはないよ、毎週2回、ジムに通ってるし」と即答。でも、そのジムに行くのももちろん車で、だそうです。

ラスベガスはおそらく20回目くらいだと思います。以前はメモリアルウィークエンドのたびに、わざわざニューヨークからお金を失くしに行っていました。4~5年続いたかな。目が飛び出るほどの大金ではないにしても、庶民の僕にとっては結構なお金をバカラに溶かしました。

子供が出来て以降、ピタリとギャンブルを止めたので、止めれたので、そこまでギャンブル狂ではなかったのだと思います。あくまで庶民感覚の遊び程度で遊んでいた。それでも1回、また再開すると、戻れなくなりそうで、今回の滞在も24時間ほどの短い時間でしたが、カジノにはあえて足を踏み入れませんでした。ショーを見に行く時間もなく、滞在時間24時間で、次の目的地、香港へ。ベガスは1泊だけでした。

香港までは約10時間の長旅です。ユナイテッドエアライン。今回はエコノミー席で、さすがに10時間はきついと思い、カウンターでマイレージを使って、ビジネスクラスへアップグレードしようとお願いします。でも、カウンターのお姉さんが、「でも、この便、エコノミー席はガラガラよ。それでもアップグレードする?もったいなくない?」と言ってきます。最初は意味がわかりませんでした。コンピューター上の座席表を見せられると、僕の隣2席が空白。ということは、横になって寝ることもできます。エコイミー3席分はおそらくビジネス1席分より広い。ということで、香港までエコノミー席3席分で横になって爆睡できました。それでも10時間は長かった。

10時間1箇所にじっとしてるストレスからか、お腹も空いていないのに、きっちり機内食を完食してしまう。海外出張は、それ自体で不健康です。

香港は約10年ぶり。空港に到着して、外を出ると夜でした。「なつかしいなぁ」と思うと思ったけど、まったく記憶にありません。タクシー乗り場に行っても、何も思い出せない。この10年で香港自体も当然、変わっているはずです。おそらくニューヨークより東京より変化の度合いは大きかったはず。

今回の香港ももちろん仕事。香港在住の今回のクライアントは日本の方ですが、彼は、東京より、ニューヨークより香港の方が好きだと言います。彼は在香港5年だとか。いまは出張から香港空港に戻ってくると「落ち着く」らしいです。

タクシー乗り場からタクシーに乗ります。運転手は愛想が良く、乗ったと同時に「エアコンの温度は大丈夫か?」とカタコトの英語で聞いてくれます。まるで東京無線。ニューヨークのイエローキャブの運転手が車内の温度や、エアコンの風向きを聞いてくれることはまずありません。

以前、東京で、運転手が「エアコンの風、(後部座席まで)届いてますでしょうか」と聞いてくれたことを思い出します。まさか、そんなサービス精神を香港で見ることができるとは。やっぱりこの10年で香港も変わったのだと実感し、感動しました。

その瞬間、日本でもアメリカでも聞くことがないゲップ音。まるでわざとこちらに聞かせるかのごとく、運転手の派手なゲップを聞かされました。気持ち悪い話でごめんなさい。当事者の僕は、その1000倍気持ち悪かった。エアコンの風が、むしろ届かないことを、窓が締め切られた車内で願いました。やっぱ、変わってねえや、香港。(つづく)

image by: Shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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