規則よりマナー。騒音をアンケートで解決したマンションの奇跡

shutterstock_461879116
 

マンションの騒音問題は、住民各々がどこまでを騒音とすべきかで揉めることが多々あるため、管理組合が規約制定する場合がありますが、規約に頼らず住民の潜在的マナーで解決を目指すマンションも存在するようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、意見交換の重要な場として「住民アンケート」が活発に機能するマンションの実例を紹介しています。

規則よりマナーで「暮らしやすいマンション」に

こんにちは!廣田信子です。

すてきなマンションをご紹介したいと思います。東京都内、地下鉄の駅から徒歩5分、築約35年、約60戸のマンションです。表通りに面していないので、静かで、建物もとてもきれいに維持されています。理事は基本1年任期の輪番制(立候補可)で、ずっと同じ管理会社といい関係でやってきています。場所がいいので、市場価格も、分譲時より上がっているぐらいで、中古で購入した若い家族が入居しています。

集会室はなく、エントランスが3つあり、3系統のエレベーターが独立しているので、人のつながりが作りにくいマンションの構造です。で、総会以外は、あまりみんなが集まる機会がなく、コミュニティ活動も特にありません。表面的に点数化をするとコミュニティ形成ができていないと思いがちですがとてもいいコミュニティの文化をつくっていて、感心しました。

それがよく表れているのが、多かれ少なかれどのマンションにもある騒音問題にこのマンションがどう対処したか…です。このマンションでは、細かい規定をつくらず、マナー意識を共有することで運営してきたのですが、住み替えで子供が多くなったり、専有部分のリフォームが盛んになる時期なので、やはり、騒音に対する苦情はあり、「規則で縛るべき」との意見も出ます。それで、理事会で検討しましたが、理事会では、「規則では縛れないので、マナーに訴えるべきという従来通りの考え方でいくことを決めたのです。

苦情がある度、広く居住者の思いを拾わず、どんどん禁止規定を作り、自分たちで自分たちの住まいを暮らしにくくしているのでは…と、思う管理組合がある中で、「規則よりマナーの文化を貫いていることに、まず、びっくりし、感動しました。

それで、理事会は、皆さんに方針を理解してもらえるようにと、アンケートを実施しています。まず、1回目のアンケートでは、気になる音や時間帯、それに対する意見を聞きました。その結果は、大多数が「集合住宅なのでお互いに気を配っていこう」という常識的な回答でしたが、生活しているのだから音がするのは当たり前。音が気になるなら人のいない所に住めばいい…と、音に対する苦情よりは反対に音に過剰に反応し過ぎることに対する批判意見が出たのです。

通常、騒音に関するアンケートをすると、あれも、これもと苦情が寄せられ収拾がつかなくなるのでは…と二の足を踏みますが、それに、正面からソフトに取り組んだ理事会も、騒音苦情より過剰に反応し過ぎることに反対する意見が多く出たことも、私には、驚きでした。

で、理事会は、1回目のアンケート結果を見てどう思うかを聞く2回目のアンケートを実施しました。

print
いま読まれてます

  • 規則よりマナー。騒音をアンケートで解決したマンションの奇跡
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け