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助け合いの心と、謙虚さ。令和ニッポンを世界が頼りにする理由

深刻な少子高齢化や景気後退などを理由に、悲観的な論調で語られることの多い我が国の未来ですが、令和時代を迎えた日本を、世界が頼りにする状況になりつつあるという見方もできるようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、自国第一主義が蔓延り混乱する現代にあって、武力に代わる力で世界をまとめる役割を日本が担うことになるとして、その論拠を記しています。

日本の時代がやってきた

即位の礼で、式直前まで雨が降っていたが、直前に一転晴れて虹が出た。これは令和の時代に対する吉兆の印である。なぜ、日本の時代になるのか検討しよう。

米国株価

NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが、その後下落して、製造業ISMが50割れ、かつ米欧貿易戦争も始まり大きく下落したが、ステルスQE4で上昇。しかし、NYダウは割高で横バイで10月25日に26,958ドルになったが、SP500は最高値を更新した。

このような株価が最高値になっても10月FOMCでは利下げを行う可能性が高い。米国の金融経済システムの何かが変になっている

米FRBがPOMOというステルスQE4で、月600億ドルの短期国債を買うということと、米中貿易摩擦が一服したことで、FANGは上昇したが、キャタピラやジョンソン&ジョンソン、ボーイング、アマゾンなどの業績の下方修正が多数出て、株価は横ばいになっている。

NBA(全米バスケット協会)なども中国での試合の売り上げが大きいが、中国は、香港問題で香港を支持するNBAの放送を中止した。このため、NBAの売り上げは大きく落ち込むことが確実である。これと同じことが、他の米国企業でも起こっているようだ。

バブル崩壊の兆候も出て、WeWorkのIPO失敗と評価額の大幅な下方修正で資金繰りの問題が出て、IPO市場が混乱して、ベンチャー投資がおかしくなってきた。特にソフトバンクのビジョンファンドのパートナーが辞任したことで、ソフトバンクGの借金と資産の両建経営が行き詰まった印象を与えている。

この兆候と同時に、FRBがPOMOで短期市場を買い支えているが、短期金利が上昇している。この影響でジャンク債の金利も上がり、シェール企業の倒産も増えてきた。倒産でジャンク債金利が上昇して市場もおかしくなってきている。必死にFRBが金利上昇を止めているが、地銀が大量に保有するCLO債に飛び火する可能性あり、日銀は警戒感を強めている。

為替は、1ドル108円台から動かない。ペンス副大統領の対中国非難の演説が10月24日にあったが、株価や為替の反応はほとんどなかった。

このため、資金がジャブジャブにあるために、米国の投資家は、出遅れの日本株を買い始めている。その他の投資先を探している状態でもある。しかし、ここ数カ月、新興国など世界中で抗議行動が激化。発端となった事情は、それぞれ異なるが、経済的格差への不満などが根底にあり、世界的な景気後退が背景にあるので、投資できる感じではないようだ。

日本株価

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、2018年12月26日18,948円と暴落し、その後はレンジ相場になり、10月始めから売り残の買戻しとFRBのステルスQE4、それに伴う海外投資家の買い越しで、10月25日22,799円と連日の年初来高値になっている。そして、世界的にも日本株の値上がりは、大きいことになっている。値上がりは日本株だけという様相でもある。

三空の日足になったので踏み上げ後、反転するかと思いきや、そのまま上昇になっている。このため、23,000円台に乗せる可能性も出て来た。

日本も安川電気などの下方修正が出て、景気後退ぎみであるが、市場は需給で動き、売り残の買戻しと日本株の割安感から買い越し、かつ108円の円安になり、年初来高値を5日更新している。米国のバブル崩壊兆候から日本株への投資が増え、強い相場になっている。大型株が上昇しているが、小型株は安いままである。今後、小型株も上昇すると大きな上げになる可能性もある。

しかし、中国への輸出は減少しているので、日本企業の収益は減少している。このため、日本企業の下方修正が頻発しているので、注意が必要な状況ではある。今の相場はファンダメンタルズを無視した需給相場であり、いつ、反転するかわからない状況である。米国のステレスQE4が作る相場であることを肝に銘じて取引をすることである。

もう1つ、日本も景気後退なのに株価が上がるバブル形成になっている。消費税増税で、このバブル形成をなるべく少なくしたいと、このコラムでは述べていたが、多くの評論家は消費税増税後に不景気になると述べていた。しかし、現在、株価はバブル形成の上昇だし、消費の落ち込みも大きくない

株価暴落の不景気としていた評論家の間違えた理由を聞きたいものである。

米軍シリア撤退

米軍は、シリアのトルコ国境からイラクに移動しようとしたが、この移動は、イラン革命防衛隊がシリアに移動しないように監視することのようである。しかし、イラクの反対で動けず、シリアのクルド人支配の油田地域に移動することになった。ここで、イラン革命防衛隊のシリアへの移動を監視することのようである。そして、この移動を要請したのが、イスラエルのようである。

ロシアは、トルコと10月23日にソチで、エルドアン大統領とプーチン大統領が会談して、トルコ国境から30キロ範囲を安全地帯として、ロシアとトルコで監視することになったが、ドイツが国連にNATO軍も参加するとした。エルドアン大統領は了承したが、ロシアの態度は分からない。

どちらにしても、プーチン大統領が中東の調整役を果たして中東地域の盟主となったようだ。中東地域の調整は、今後、米国ではなくロシアが行い、米軍はイランやイラクの敵である邪魔者になってしまった。サウジもUAEも米国から離れ、ロシアにより始めた。

イラクでは、イラク内クルド人地域以外のイランへの米軍の移動を了承しないとしている。ペンタゴンは、アフガニスタンからの米軍撤退をも計画して、トランプ大統領の命令に即座に行動できるように準備している。米軍の被害を少なくすることを優先するようである。

とうとう、イスラエルの味方は米軍以外に中東にはいなくなったことになる。ヨハネの黙示録の状況になってきた。イスラエルの味方がいないと述べているが、その状況になり、かつシリア駐留だった米軍には現時点、戦車もない軽装備である。ISとの戦いには戦車は必要がないが、イラン軍との戦闘には戦車が必要である。油田地域に移動する米軍は、戦車を装備するという。イランとの戦いに備えることになる。

このような状況になったのは、トランプ大統領が選挙公約を実現することしか頭にないことによる。全体的な戦略を見た米軍の戦術行動ではなく、中東でのフレゼンスを失うことになったようだ。

このため、軍産複合体は、共和党議員も含めて、トランプ大統領の弾劾裁判に賛成した。下院の得票で350対60の大差で弾劾調査を開始した。これに危機感を持ったトランプ大統領は、軍産複合体の要請を一部受け入れることにした。それがシリア完全撤退ではなく、シリア油田地域への移動になったのである。

しかし、軍産複合体もトランプ大統領は敵にしてしまったことになっている。弾劾調査開始で、トランプ大統領も危機感が出ている。このため、支持拡大のための政策の実績が必要になっている。中国との部分合意なども早急にまとめる必要があるし、北朝鮮との交渉も進める必要がある。

日本の時代がやってきた

即位の礼で、140ケ国から元首などの参列客を迎えて、厳かに式が進行した。10月22日は朝から雨が降っていたが、式典直前に雨が止み晴れて、虹が出て、天も新しい日本の門出を祝福しているようであった。

天皇は、自然崇拝の神道の祭主であるので、式典の天気も自然の現象と大きく結びついている。このため、自然現象は、行く道を示すことになる。虹が出るということは吉兆だと確信する。

もう1つ、日本は言霊の国である。漢字には霊力があると言われてきた。このため、「令和」という時代名称は、時代を特徴づけることになる。令とは法律のことであり、和とはなごやかなこと、仲良くするということであり、法律で仲良くすると読める。

今後、日本でも貧富の差が開き、その分断した国民を統合するには、大きな力で貧富の差を乗り越えてまとめることが必要で、社会保障改革などの改革の先に、次の課題が出てくる。裕福な者から多くの税金を取り、貧しい者に分け与える仕組みが必要になる。2割の上流階級と8割の大衆階級に大きく分断されるが、それを繋ぐことが必要になる。この繋ぎには、強制力が必要になる。それを表しているのであろう。

世界も同じように米国の衰退で混乱化するが、それをまとめる国が必要になる。まとめるためには、こちらも武力などに代わる力が必要になる。その力を日本が持つような気がする。

どちらにしても、日本が中心に世界は繋がることになる。それが、日本の使命でもある。日本の時代が来たことを、強く感じた。

宗教衰退で倫理観崩壊

なぜ、世界が混乱するのであろうか?世界的に宗教が衰退して、イスラム教でも信仰心がなくなっているが、宗教の持つ力は、医学、科学技術や経済合理性に置き換わり、宗教の持つ力が衰退している。しかし、宗教が衰退したことで、宗教が持つ倫理的な考え方も衰退して助け合いなどの人間相互の非貨幣的な思いやりが無くなってきている

この影響で、個人主義のミーニズムが蔓延り、富裕層が自分の利益優先で行動、貧富の差が拡大して、そのため、圧倒的に多い貧困層が富裕層を非難し始めた。このため、その目を外国に向けるために、自国第一主義などの政治的な動きになっている。世界を混乱に追いやっているのは、貧富の差でありミーニズムであり宗教の衰退ということになる。

同じように、日本でも仏教の衰退が起きている。しかし、温暖化などで大きな天災(台風、地震)が、日本を毎年のように襲い、大きな被害が出ている。

1960年代から防災インフラを整備して、1980年代には災害が少なくなり、日本もミーニズムが繁茂しそうになったが、残念ながら2000年以降、また台風も地震も温暖化で強力になり、整備した防災インフラでは防げなくなったことで、災害が飛躍的に増大したのである。

この災難は、しかし、皆の「相見互いの精神を呼び戻して、自然が、日本人の倫理観を強化する方向に作用している。ボランティアが災害各地に行き、大きな運動になっている。

自然崇拝の神道が、日本人に「相見互い」という感情を引き起こしているともいえる。神道の神は、自然の脅威などであり、その猛威から日本人が貧富の差を乗り越えて、相互に助けて、日本の地に生き残ってきたのである。ミーニズムを蔓延させない理由は、災害がいつ自分の身に降りかかるかわからないことにある。武蔵小杉のタワーマンションに住む富裕層でも災害で、家の価値が激減することになる。

災害時、皆が助けを必要とするし、資産を持っていてもいつ災害でダメなるかわからないことで、皆が謙虚になれるのである。

日本は自然災害が多いが、その代わりに自然の恵みも大きく、その自然の恵みに寄り、寿命も長いことになっている。このため、皆が助け合って生きることしかないとわかっている

このため、大金持ちはいないが、それでもミリオネアが、米国や中国の次に多いのに、その人たちは、ひっそりと暮らしている。このため、誰がミリオネアか、わからない。また、日本では、金持ちが理想の生き方でもなく、日本人の理想的な生き方は、一芸に秀でて、皆から尊敬される生き方のようである。

日本が頼り

米国の自国優先主義で、世界は頼れる存在を失いかけている。欧州でもドイツの自国優先主義で、EUがバラバラになる可能性が出ている。財政均衡主義がドイツ以外のEU諸国を苦しめている。英国がEU離脱する理由も、ドイツの移民政策に納得が行かないことである。

このため、中露の台頭が目立つが、中国も米国と同様に自国優先主義だし、ロシアはお金がなく軍事的な面では頼れるが、経済面では頼れない。

このため、経済的な面と民主主義の国として日本も頼られる存在になってきた。その中心的な役割は、日本の倫理観である。「相見互い」という感情で、世界とかかわることである。このため、日本は人道主義で行動して損得で動かないことである。

経済的面でも、米国がハイインフレになったときでも、財政均衡化でインフレを抑制して、ドル基軸通貨崩壊になるが、世界的に円で代行するデジタル決済手段を用意することである。中国も気が付いて、デジタル人民元を始めるという。

その準備が、スイカなどのICタグ決済であると見る。現金を出すより早い決済ができる。QRコード決済からメルペイなども、ICタグ決済に移行する可能性を株主総会でも述べていた。

スマホにICタグが標準で用意されている日本では、ICタグ決済もソフトを作ればできることであり、実現が難しくない。主要メーカーのスマホにICタグが付いているので、世界的な決済でも、普及できる基盤がある。

さあ、どうなりますか?

image by: Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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