仕事中の同僚のナイスヘルプは当然のごとく受け取る一方で、ミスに対しては見せしめのように激しく注意する。こんな職場でありがちな光景でも、積もりに積もれば会社への大きな不満に繋がりかねません。今回の無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』では著者で食品安全のプロである川岸博和さんが、従業員が「誉められた実感」や「誇り」を得られる企業の取り組みを紹介しています。
「褒め称えること」の重要性
いい仕事をしてほめられる事は非常にうれしいものです。子供のころは学校のテストでいい成績をとったり、運動会で活躍すると、仲間や親が褒めてくれました。日本の社会では社会人になってしまうと、なかなか褒めてもらえないものです。社会人になって偉くなると、勲章がほしくなるのは、子供のころの花丸がほしいのと同じ感覚かもしれません。
私はアメリカの企業で仕事をしたことが有りますが、アメリカの企業は本当に人をほめる事を大切にします。売り上げなどが目標を達成したとき、いい仕事をしたときは、全員で拍手をして人を褒め称えます。いい仕事をしている方を見かけた時は、「ありがとうカード」を書いて掲示板に掲示します。毎月のベスト従業員を掲示板に写真入りで掲示して褒め称えます。
人間は働くときに、お金だけで働くのでは無いと思います。「人間はいい仕事をしたい」、「世の中の役に立ちたい」、「人から褒められたい」 と思って仕事をしているはずです。
クレームが発生したことで従業員、仲間を非難するのでは無く、いい仕事をしている人を褒め称えることがいい商品を造る事に繋がると私は思っています。工場で働く従業員の方がすべて自分の工場、自分の機械と思って働く事で、クレームの芽を摘むことが出来るとおもいませんか。
スマホのゲームに「ポケモンGO」があります。最近は中高年の方が楽しんでいる姿を多く見かけます。ゲームを行う事で、ある課題をクリアすると、メダルがもらえ、点数が溜まると、評価され、レベルが上がります。そうすれば、ゲームに対する、やる気、モチベーションが保たれるかをよく考えられています。従業員のやる気を常に保つためには、どうすればいいかの参考になるゲームです。
所属することを誇れる
あなたは、現在の企業に所属していることを誇りに思っていますか。家族に説明するとき、退職後に家族に説明するとき、自分自身で自分に語りかけるときに、「素晴らしい時間を過ごした」と思うことができますか。
「企業、会社は誰の物ですか」と質問をしたときに、みなさんの工場の従業員の方は、なんと答えますか。目の前の生産設備、使用しているボールペンまで、すべて「自分の物」と思える教育が必要なのです。自分の会社、自分の工場と思えば、過ごした時間も後悔が無いはずです。
自分の工場と、一人一人の従業員が意識することで、通勤中、通勤に使用する車などで、地域の方に迷惑をかける事は行わないようになる物です。「飲酒運転を行ったら解雇」と誓約書を交わしている工場もありますが、「悪いことをしたら、罰があります」と、考えられる項目をリストアップして注意するよりも、「あなたの工場と思って行動してください」と教育した方が、いい結果が生まれる物です。
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