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楽天家すぎ?基地局不足で険しい道が続く楽天モバイルの行く末

紆余曲折を経ながら、第4のキャリアとして本格参入を果たした楽天モバイル。そのサービス開始には様々な声が聞かれますが、楽天・三木谷社長の発言は相変わらず強気です。去る11月7日の会見でも、楽天モバイルの基地局数やプラチナバンドについて楽観的に語り、専門家は疑問を投げかけています。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の中で楽天の甘い見通しを厳しい目で見る一方で、Adobeが発表した写真整形を見破る新技術にも注目。「フェイクニュースの終焉に繋がる」と語るなど、IT業界の明暗を端的に解説しています。

楽天モバイル基地局6500局を確保へ━━三木谷社長「ほぼ繋がるようになる」と自信アリ

11月7日に楽天が決算会見を開催した。残念ながら、7日はAdobe MAX取材からの帰国日であったために取材に行けず。しかし、ウェブ上に公開されている決算資料や関係者からの報告によって詳細はなんとなく把握することができた。

楽天モバイル、やはり注目は基地局数だろう。先日、三木谷浩史社長が基地局の前で撮影した画像をツイートしていたが、10月末の実績として、約3300局が契約を締結済み。そのうち、約2300局で電波を吹いているという。用地の確保数は5000局を超えている。

さらに12月末での見込み数では3000局で電波を吹き、契約締結済みは4500局、確保数としては6500局になるという。総務省に計画書として提出している2020年3月末までの3432局は達成できる見込みだ。楽天は2026年3月末までに全国に2万7397局を設置する計画となっている。

ただ、先日、Twitterに大手キャリアの基地局数一覧が流れてきた。総務省が作成した昨年のデータとなるが、例えばNTTドコモであれば全国にLTEで20万2400局、KDDIもLTEで11万9100局、ソフトバンクもLTEで12万6500局といった具合だ。KDDIとソフトバンクはそれぞれUQコミュニケーションズ(6万3500局)ワイヤレスシティプランニング(6万3000局)も加味しなくてはいけない。つまり、3キャリアともLTEにおいては全国で18~20万局の基地局でネットワークを構築していることになる。

また、プラチナバンドだけを見てみると、NTTドコモは800MHz帯対応の基地局を6万8000局、KDDIは5万6500局、ソフトバンクは900MHz帯で4万8400局も所有している。一方の楽天モバイルは1.7GHzしか持っていないのだ。

決算会見で三木谷浩史社長は「路面上でいうと、ほぼ繋がるようになってきている。(中略)普通に使っていただいても、不自由のないようにできると思う」と語ったとされる(ケータイWatchより引用)。

やっぱり、第4のキャリアとして参入した楽天モバイルに関しては「不安」を感じてしまうし、この計画を認めた総務省もどうかしていると思う。

Adobeが「Photoshop整形」を見破れる技術を開発━━フェイクニュース撲滅に向けて著作情報管理も強化

Adobe MAXで発表された案件で個人的に注目しているのが、Adobeとニューヨーク・タイムズ、Twitterが共同で開発しているという「Content Authenticity Initiative(CAI)」というシステムだ。

コンテンツに「誰が制作したのか」「いつ編集されたのか」といった著作権情報を埋め込めるというものだ。これにより、Twitterに流れる画像がきちんと著作者から発信されたものなのか、パクリなのかどうかの判別ができるようになる。

ニューヨーク・タイムズなど報道機関にすれば、SNS上の情報に騙されることなく、フェイスニュースを回避することが可能になる。

また、筆者のような、写真も撮影し原稿とともに公開するライターとすれば、写真に著作権情報を埋め込めることができれば他にパクられる心配がなくなるし、パクられたらきちんと使用料を請求できるようになるかもしれない。

もう一つ注目しているのが、2日目の夕方に開催されたAdobeが開発中の技術を公開するイベント「SNEAKS」で披露された「Project About Face」だ。 Photoshopで加工編集された顔写真かどうかを見分けることができ、さらにどのあたりが編集されているのかヒートマップで確認できる技術となっている。

これだけ人がネットに流れている情報に騙される背景には「画像が加工されたどうか見分けがつかない」という状況がある。いわば、Photoshopが優秀すぎて、我々が騙さている感があるのだ。

Adobeとしても、これ以上悪意を持って加工された画像の氾濫を防ぐために、「加工を見破れる技術」というのを開発したかったのしれない。

目を大きくしたり、額を小さくしたり、顎を削ったりなどのPhotoshopの加工が一発でバレてしまうため、芸能人のプロフィールやグラビア写真などに適用すると、とんでもないことが起きるかもしれない。これまでPhotoshopの加工に恩恵を受けてきた人からすれば、なんとも邪魔な新技術といえるだろう。

いずれにしても、デジタルコンテンツの流通によって情報の真贋を見極められなくなっている時代なだけに、Adobeのこうした取り組みが、早く世間に広まって欲しいものだ。

image by: Hannari_eli / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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