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これだけは記載してはいけない。時間外労働規制でアウトな表現

近年よく耳にするようになった働き方改革。大企業では既に時間外労働の上限規制が適用されており、来春からは中小企業にも適用されることになっています。法律で時間外労働が規制されることはわかると思いますが、しかしわかるようで、よくわからないという人が多いのではないでしょうか? そこで今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、改めて注意点を挙げ、新様式で記載する際の注意点も会話形式で詳しく解説しています。

新36協定の注意点

働き方改革がどんどん浸透して来ている。時間外労働の上限規制は、今年から大企業に適用されているが、中小企業は1年遅れで来春からだ。しかし、中小企業でもそろそろ新様式での準備が必要だろう。


新米 「いよいよ来年から時間外労働の上限規制が中小企業にも入りますよね。あらためて気をつけておくことは何ですか?」

所長 「原則の話からしようか。週40時間、1日8時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度は、原則、月45時間、年360時間。臨時的な特別の事情があり、労使が合意して労使協定を結ぶ場合は、時間外労働時間を年720時間とできる

大塚 「ホントに原則からですねー(笑)」

深田GL 「そして、年720時間以内においては、一時的に事務量が増加する場合について、最低限上回ることができない上限として、2・3・4・5・6ヵ月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内

新米 「いずれにおいても、っていうのが大変ですよね」

所長 「単月では、休日労働を含んで100時間未満

新米 「休日労働も含んでとなると、時間外が100時間以上のところはさらに休日が加わって大変ですよね」

深田GL 「月に45時間を上回る特例の適用は、年6回を上限。じゃ、新米くん、クイズだ。答えてみて」

新米 「え?はい、お願いします」

所長 「時間外労働は年720時間以内。では、12ヵ月で割って、毎月60時間以内に納めることができればOK!?」

新米 「えぇ!?それは、僕でもダメなのはわかりますよ。45時間を超えても良い特別条項を使えるのは年に半分の6回までだからアウトです」

深田GL 「ほい、正解!これは今までも同じだからな。じゃ、次所長出してください」

所長 「では、第2問。時間外労働は年720時間以内。45時間を超えても良いのは年に6回までだね。では、720-45×6=450。450÷6=75。よって、特別条項では75時間を年に6回とする。年間合計720時間だから問題なしだろうか!?」

新米 「えっと、これも従来からの計算で問題ないし…。でも、なんか来年からの落とし穴あるんですよね?」

所長 「そうだな、来春からは休日労働があると、それを合計して月毎の平均を80時間以下にすること、1ヵ月当たり100時間未満にすること、ここを見守っていかないとアウトになる」

大塚 「1日でも8時間の休日労働すると、75+8=83時間。これが2ヵ月続くと平均80時間をオーバーするということですね」

新米 「あ、そうか。1日なら(75+83)÷2=79でセーフだけど、2ヵ月連続休日出勤すると、83時間になるからアウトになるってわけですね」

所長 「そういうことだね」

大塚 「様式も変わりますが、どんなことに注意がいるでしょう?」

所長 「限定せず幅を持たせた記載にするのがいいだろうね」

新米 「どの部分ですか」

所長 「限度時間を超えて延長時間を定める場合、その理由をできるだけ具体的に決めよとある。書いた項目以外で残業していないか?のチェックが入ることもあり得るので、バスケット条項を入れる等の工夫が必要だろうな」

新米 「バスケット条項…?」

所長 「たとえば、『その他予見できない不具合・クレームへの対応』と追記するとか、万一違う理由で残業しないといけなくなったときも想定しておくのが良いね」

新米 「あぁ、そういうことですか。気をつけます」

所長 「ほかには今までの様式にはなかった特別条項の1日の記載は、書いてしまうと、厳守しなければならなくなる。確実に決まっている場合は別として、任意だから書かない方が良いね」

新米 「あ、確かに『任意』とありますね。わかりました、そうします」

所長 「それから、以前からやっていることだけど、行政のモデル書式にある『労使の協議を経て』という言葉は絶対使わないことだね」

大塚 「あれは、『通告』とか『通知』にすれば良かったんでしたよね」

深田GL 「そうだね。従業員代表や対象労働者宛にね」

所長 「最後に重要なのは、過半数代表者の適法な選出だな」

深田GL 「『使用者の意向に基づき選出された者でないこと』。これが加わったから、厳しくなって、要注意ですね」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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