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探偵が告発。山梨「女子中学生髪切り事件」の信じ難い情報漏えい

以前掲載し大きな反響を呼んだ「探偵が激怒。女子中学生髪切り事件の黒塗りだらけな調査委員名簿」、「探偵が脅迫覚悟で暴露。女子中学生髪切り事件の驚くべき異常事態」の2記事で、学校サイドや山梨市教育委員会の信じ難い対応を白日の下に晒してきた、現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。その「山梨断髪事件」に、深刻な問題が起きていたことが発覚しました。阿部さんは今回、自身のメルマガ『伝説の探偵』で、市教育委が情報を漏洩させた事実と、独自に入手したその情報の「現物」を公開。さらに被害者を排除したいとしか思えない学校サイドの呆れた対応を厳しく批判しています。

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山梨断髪事件、情報漏洩・隠蔽問題続報

山梨県山梨市で起きた「女子中学生断髪事件」に動きがあった。すでに全国紙などでも報じられているが、被害側が市を提訴したのだ。事件の概要は、こうだ。

腰の長さまで髪の毛があったハーフの女子生徒が、いじめの被害に遭い、その指導の一環として、教員らが二人、工作ハサミで髪の毛を整えてあげると言って、左右非対称に、さらに短く切ってしまった。これを原因として、少女は適応障害を起こしてしまったという事件だ。

相当ディテールを割愛しているので、詳しくは、下記の記事を参考にしてもらいたい。

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市側が提訴を回避する機会はいくつもあった。しかし、この事件に蓋をしようとするばかりで、解消に向けての動きはほとんど見られなかったのだ。結果、被害側を追い込む形となり、提訴する以外、他に方法が無くなってしまったのだ。

他の市区町村で起きれば、断髪教員は、一発処分、ニュースになって、場合によっては傷害罪で逮捕に至るような事件だ。

事件は収賄市長時代

この事件は、現市長の時代に起きたのではなく、全国が震えた山梨市市長の収賄事件や文書偽造やその行使の時代の事件である。

市の職員の採用で不正が発覚し、市長が逮捕されて有罪が確定するという前代未聞の事件は、その当時、誰もが、そこは現代の日本なのかと驚いた。

市の教育行政トップは教育長であり、この教育長の多くは市長が任命する。この市長当時、多くの主要な役職は、彼とつながりが深い人物ばかりが起用されていたことは有名な話であった。

こうした教育行政下で起きた事件であったということはあまり書かれていないことだが、教育行政はその素地になることだから重要な要素であるのでここで記載する。

ここでもあった記録がない

断髪事件の被害者は、全く有効な動きをしない学校に憤りを感じ、弁護士に依頼をして市長宛に、時の教育長が、いじめ防止対策推進法に違反する行為をしたり、文科省のガイドラインに数々の違反をしていること、学校事故に関しても当然の対応をしていないところを指摘する通知を行なっている。

この手紙は、当然市長宛であり、内容は教育長らを糾弾するものであるから、市長に届くはずだ。いや、日本の行政であれば、市長の目に届かない可能性もあろうが、少なからず、市長直下の市長部局には届いているはずであった。

ところが、この手紙は、総務課の担当局に届くと、教育委員会(事務局)に内部で送られてしまったのだ。のちの開示請求では、市長部局にはこの手紙の記録はないことばかりか存在すらも記録がないことが明らかになっている。

ところが、この手紙に対しては、誰が書いたか不明ではあるが、返事が書かれているのだ。

市長宛の手紙を一体誰が、返事を書いたのであろうか、もはやオカルトのような出来事が発生しているのだ。

一方、市長への手紙のコーナーという形で開設されているメールフォームでの相談は、市長部局に保管されており、関係者の共有が行われた。

一体どういう仕組みなのだろうかと思ってしまうが、開示請求で得られた事実をそのまま受け入れるしかなかろう。

ただ、こうした仕組みの問題が、本来の問題に具体的な対応が見られなかった原因の1つであろうことは事実だ。

教育委員の情報漏洩問題

一方で、特別職にあたる教育委員から情報が漏洩したという問題も発覚した。私は、独自のルートを使い、この漏洩した現物を入手した。

内容は情報漏洩でもあるが、ほとんどがデマの類であるため、ここで全ての公開は控えるが、一部分、公開しよう。

これはFacebookへの投稿であった。

当時、教育委員であった人物がその配偶者に事件の具体的な内容を伝えていたばかりか、それをその配偶者がFacebookに投稿したというわけだ。

投稿の閲覧は多くされており、これを見た一部の閲覧者から、公職で得た情報を誰でも見ることができるSNSで公開してしまうのは問題ではないかと指摘があったそうだ。

実はこの教育委員は被害家族から近い存在であり顔見知りでもあった。もしかすると、教育委員という仕事が公の仕事であるという認識が薄かったのかもしれないが、この問題は2019年11月になってから発覚したように錯覚している人も多いだろう。

しかし、そうではないのだ。それはマスメディアが情報を掴んだのがこの11月であったに過ぎないのだ。

現職中に隠蔽

実は、この漏洩問題は、漏洩した翌日には発覚し、市役所内でも知られることになっていたのだ。下記の写真は被害者側が、開示請求によって入手した山梨市断髪事件の対応記録である。

記録には、30年・2月・10日・9時34分に、被害者母親からの電話を教育委員会の指導主事が受け、教育委員の身内が、ネットワーク(SNSのこと)に悪口や調査の進展を書き込んだとあり、これを、教育長に報告とある。

この情報漏洩問題は、報道各社が、2019年11月に入り、取材を繰り返しているが、その多くを見る限り、教育長などは知らないという態度であるし、最近になって、この問題となった投稿画面を入手したと話しているが、それはいわゆる隠蔽の一種なのである。

理由は前述の通り。

投稿翌日には教育委員会に通告があって、これを教育長に報告と記録されていたのであり、いくらでも対応する機会はあったのだ。ところが、この件は、教育委員が退任してからマスメディアに情報を握られてから問題になるのである。

そもそも現職中にこの情報漏洩についてきちんと対処していれば、公務員(特別職)であれば、処罰の対象となろう。

ところが、これは現職中は問題とならず、この教育委員らが退任後に問題となった。山梨市の公務員、特に特別職の場合は退任後の規定は特に設けられていないということであった。

仮に在職中であっても、「職務の内外を問わず公職上の信用を失うべき行為があったとき」、「懲戒の処分は免職500円以下の過怠金およびけん責とする」程度の規定しかない。逃げ得公務員とはよく言ったものだ、過怠金500円って一体どういうことなのだろう。子どもの小遣い程度の責任だということなのだ!

被害者側の声

私は11月22日に関係者などから資料を提供してもらう中で、こんな状態の中でも、山梨市教育委員会は、リモートスクーリングなどの学習支援をしてきたということについて、確認をした。

大切な髪の毛を教員に工作ハサミで滅茶苦茶に切られ、その姿を生徒らに笑われ、大きなショックを受けた少女を教育機関として、なんとか救おうとした一縷の望み(光)があってもよかったのではないかと思ったのだが…。

文科省などが推奨するICTを使ったリモートスクーリングが確かに5回ほど行われていたことは事実であった。

しかし、これは初回を全て被害側が手配したもので、機材セッティングすら被害側が行ったそうだ。これについて当時の学校職員は、2回目以降からは、学校側が手配しましたし、セッティングなども行なっていますと反発する。

そもそもリモートスクーリングとは、教室などにカメラを置いて、同時的に、それを別教室や自宅などで授業を受けるというもので、特に不登校問題などで、登校するというハードルを下げたり、適応障害などで教室に入れなくなってしまった子の学習支援のために使われる仕組みのことだ。

今では様々な応用があり、前述のような仕組みのみならず、様々な形で教育の機会が失われないように対策が進んでいるが、世間一般にどれだけ、この仕組みが知られていようか。

こうしたものを、被害側が発案するようでは、教育委員会の役割とはなんだ?となってしまわないか。2回目からはやってますと威張って言うことではなかろう。

しかも、これが結果継続しなかった理由は、女子生徒の髪の毛を切った教諭がこのリモートスクーリングの担当となり、被害生徒の隣で、ずっと一緒にいたからなのである。

被害生徒らは抗議をしたが、学校側はこの方針を変えなかった。被害生徒は勉強がしたかったのだ。だから、なんとか頑張ってみようと思った、しかし、耐えきれず、心の傷は日々深くなるだけで、断念となったのだ。これでは、辞めさせるために学校がある意味の加害教員を担当にしたのだと言われても申し開きもできないだろう。

しかし、その部分は省き、学校も教育委員会も、やるだけのことはやっています、リモートスクーリングだってやったんですよ、というわけだ。

そう言われてしまえば、詳細を知らない人は学校側もきちんと配慮していたのではないかと思いたくなるものだ。

しかし、その実は違う。詳しく知れば知るほど、学校は大丈夫かと不安になってしまう保護者も多いことだろうが、事実はしっかり把握しておいたほうがいいだろう。こうした被害者の声は、なかなか世間に届くことはないのだから。

敢えて言うとすれば、学校側は何かをしたと言う実績のために何かをしていたのであり、その実、被害者や被害保護者を排除しようと取れる行動ばかりをしている。

そればかりか、情報漏洩が起きたり、問題の責任者が退任するまで、重大な懲戒処分相当の問題が隠されていた。一人一人が無責任それがこの問題の根本なのではないかと思うのだ。

ちなみに、断髪事件が起きた当時の学校長は市のいじめ対策の担当者だという。もしや、隠蔽の仕方でも講義しているのではあるまいか。そう思いたくなってしまう。

編集後記

こうした事件を調査していくと、とても悲しい気持ちになります。これでどうやって被害者は救われるのだと思ってしまうのです。

一方で、市の教育委員会やある種の地元勢力について不都合な事実を公開しているわけですから、嫌がらせもたくさんあるわけです。高知県、山梨県、大阪府など、よそ者がイイように言いやがってとくるわけです。

私がこうした記事を書く際、疑いについて疑いと書き、事実については事実と書くにあたり、エビデンスを積み重ねてから書きます。その量はデータにすればテラに及ぶものもあり、紙にすれば、段ボール1箱分になることもあります。

また、嫌がらせについては1つ1つ調べている余力はありませんが、あまりに酷い一部の方は調査を進めており、法的手続きを打つこともあります。基本的に相手にしていないというのが対応の基本ですが…。

一方で、よくぞ書いてくれたと、お褒めいただくこともたくさんあります。

今回はどうでしょう。

私が思うに、これは行政の構造的な問題や慣習についての問題もあって、より問題が深化してしまったところが大いにあると思います。市議会の記録も見ましたが、委員会などで噂話レベルをしたり、いたずらに時間を潰していると感じるところが複数ありました。

経済優先の政治ですから、教育には興味がないのかも知れませんが、教員出身が多い議会なのですから、もう少し教育に興味を持たれると同時に、公務員の守秘義務についてしっかり規定を作ってはどうかと思います。500円はちょっとあり得ませんよ

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image by: Shutterstock.com

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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