物を落とす、壊すなど、同じ失敗を繰り返す子どもに、つい「何で~するの?」と責めるように問い質してしまう。そんな経験はありませんか?メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんは、イラッとする気持ちを抑え一呼吸置くことをアドバイス。失敗をよい経験とし、考える力を育てるための上手な声かけの仕方を教えてくれます。
つい子どもに言っちゃう「何で~?」
Question
妻は子どもたちを叱るときに「何で落とすかなー(怒)」「何でそうやるの?ダメって言ったでしょ」「何で壊す?」「何で?」と、毎回「何で何で」と責め立てます。
私が「『何で』と言っても子どもはわからないからそれはやめた方が良い」と言うのですが、聞く耳を持ちません。専門家の意見をお願いします。(0歳男児、3歳双子男児、4歳女児のお父様より)
柳川さんからの回答
手の掛かる時期のお子さまが多くて大変です。でもその分、喜びも多くて楽しいだろうと想像します。さて、子どもへの叱り方は様々です。そもそも「叱らない子育て」も言われている時代です。子どもへの声かけについてお伝えします。
1.感情的な意味のない言葉
イライラして「何で落とすかなー(怒)」と言ったとき、子どもが「だって〇〇だもん」と答えても「言い訳しないの!」と言っていませんか?また、子どもがそもそも返事をしないときに再び「何で黙るの?何とか言いなさい」と言っていませんか?
大抵の子どもは、なぜこぼれたかわからず「だってこぼれちゃったんだもん」と答えると思います(笑)。そもそも子どもはこぼそうと思っていません。誤って、或いは不可抗力でこぼれたのでしょう。
親も「何で」と聞いておきながらも、実は理由を聞きたいわけではありません。感情的になってしまい、普通に叱るだけでは自分の高ぶった気持ちを抑えられないから、「何で?」と接頭語のようにつけて叱るのです。
子どもに「何で(怒)~」と感情的に言葉をぶつけるのはやめましょう。
2.叱らず怒らず実況報告
それでも「あーもう(怒)、何で〇〇かなー!」と言ってしまったら、一呼吸置いて、子どもに現状を伝えましょう。「コップが落っこちちゃったね、あらー、ミルクがこぼれて流れてる」、「お雑巾持ってくるね、持ってきたよ、さー拭くよー」。
割と大きな声で、「実況報告」することでイライラも収まってきます。大きな声で発散しているからなんです。ですから、子供に向けて「何で〇〇なの?(怒)」と言う代わりに、実況報告しましょう。
実況報告ならば、感情が入りませんから、子どもも「ママが怒ってる、ママに叱られた、怒られた」という気持ちにはなりませんね。子どもにしてみたら、こうした小さな失敗は「わざと」ではないのですから、叱られる理由はありません。
3.一緒に考える
実況報告が終わって、現状復帰したら子どもと一緒に「どうして〇〇になっちゃったんだろうね?」と考えてみましょう。
冷静に考えてみると、もしかしたら、器が子どもの手に合わないのかも知れません。或いは、手が濡れていて滑ったのかも知れません。もしかしたら重かったのかも。
幾つかの原因が考えられますが、一緒に考えることで子どもの意識が変わります。そして実際に、一つ一つその原因を取り除いていけば、落とすことも減りますし。
「なんで」という言葉は、子どもにぶつけるのではなく、子どもと一緒に考えるための親への問いかけとして使いましょう。
家庭教育アドバイス…「失敗をチャンスに変える」
子どもが「やらかしてしまったこと」をチャンスに変えましょう。もちろん、わざとこぼしたり、落としたりしたことは叱る対象ですが、不可抗力でそうなってしまったときは、そうした失敗を次へのステップに変えましょう。
同じ失敗を繰り返したとき「何でこの前と同じ失敗するかなー」ではなく、「あ、コップが落ちちゃったね、ミルクがこぼれて流れてる。この前よりも少ないよ。」と実況報告をしつつ、子どもに「この後はどうしたっけ?さあ急げ急げ、ミルクが広がっちゃう」と前回の失敗経験を生かすような声かけをしましょう。
子どもと一緒に考えることで、子どもの「考える力」も育っていきます。イラっとしてもまずは一呼吸してから対応しましょう。
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